約束

 春野みはる。私の友達。いや、私の大好きな親友。この事実だけは何があっても変わらない。だから、私は復讐を決意した。みはるが.........私の大切な親友は死んでしまったのに、その元凶が平穏な暮らしをしていることが許せなかった。


 そのためなら、私はなんだってしてきた。体も心も私の何もかもを全て復讐に捧げてきた。だけど.........それは失敗に終わった。だから、私は同じ過ちを二度と起こさないように全てを巻き込んで死ぬことで.........みはるに逢いにいく。だけど.........


「お前の親友の春野みはるは、お前が死ぬことを本当に望んでいると思っているのか!?」


「それは.........」


 絶対にみはるは私に死んで欲しいなんて言わない。けど、だったら私はどうしたら.........それに.........それに.........そもそも、みはるは絶対に復讐なんて.........。


「あっ.........」


「宮崎?」


「はは。ははははは」


「お、おい」


 馬鹿だ私は。そんなこと、少し考えれば分かる事じゃない。なんで、こんな簡単なことにすら気づけなかったのだろうか? 


 不思議な気持ちだった。あれだけ認めたくなかったのに。認められなかったのに、みはるのことを考えるとすんなりと腑に落ちた。



.................私は間違っていた。



「お、おい。大丈夫か?」


「あーあ。本当に蒼空は馬鹿だね」


「.........は?」


「いや.........馬鹿は私だな.........」


「ねぇ、蒼空。私はこれから、どうしたらいいと思う?」


「生きればいいと思うよ。みはるもそれを望んでるはずだから」


「!?」


 神様は本当にいじわるだ。だって、私が1番言われたくない人に1番言われたくない事を言われたんだから。いつから? なんて、そんな事は聞かない。だって、見たら一目瞭然なんだから。肩で息をしながら必死に訴えてくる涼風いのりは目の前にいるのだから。


「みはるだったら、絶対にそういうに決まってるよ! だから、早まらないで!」


「分かってるわよ.........そんなこと.........」


「だったら、」


「言わないで。私は生きる。どれだけ、無様になろうが生き続ける。みはるの分まで私が生き続けてやるんだから」


 ごめん.........みはる。私はまだまだそっちには行かないよ。けど、次に会う時は私の人生を全て話してあげる。100年くらい話し続けるかもしれないけど、そっちなら時間なんて気にしなくて大丈夫だよね?


 私が超えた柵を乗り越えて屋上と戻ろうと思ったその時だった。突如として強風が私を襲う。


「.........え?」


「「宮崎(さん)!!!」」


 神様は本当にいじわるだ。私が生き続けると決めた時に私の邪魔をする。蒼空とあの女.........涼風が私の方へと走っているのが下から見上げるように見える。


「ごめん.........みはる.........」


『諦めないで。私の分まで生きてくれるんでしょ?』


「.........みはる?」


『ほら、両手を伸ばして。柚希が話に来てくれるのをずっと楽しみに待ってるから。だから、長生きしてね』


 幻覚だろうか? 幻聴だろうか? なんだっていい。私はまだまだ生きなければならないのだから。


「こんなとこで死んでられない!」


 私は両の手を空に掲げるように伸ばす。それと同時に私の体が何かに押し上げられたような気がした。それが、風だったのか.........あるいは、私をみはるが生かしてくれたのか。それは分からないが、確実に言えるのは私の両手が掴まれた感触があった。


「「セーフ!!」」


「.........ふふ。なによそれ」


「今から上に上げてやるからな! 絶対に手を離すなよ!」


「絶対に離しちゃダメだからね!」


「分かってるわよ。.........ねぇ、蒼空、涼風」


「こんな時になんだよ!」


「ありがとう。.........ごめんなさい」


「「もう気にしてねぇよ(ないよ)!!」」


 なによ、この2人。こんな時まで息ぴったしなんて。本当にお似合いすぎじゃない。.........私もいつかこんな風になれるのかな。.........いつか.........誰かと私も。





「あなた達が羨ましいわ」






 私が2人に助けられてからは散々だった。先生達が大慌てで屋上に来て私は2時間にも渡るお説教を受けた。もちろん、私は停学処分。停学の期間は2週間だった。


 けど、それもいつかはいい思い出になる。人の人生は長いのだから。死ぬ時に後悔しないような人生などではなく、私は死んだ後でも後悔しない人生を生きる。それが、私の大切な親友との最後の約束なのだから。




~あとがき~


どうも! 白浜 海です!


ここまで読んでいただきまして、本当にありがとうございます。更新されない期間もかなり長い間あったにも関わらずここまで読んでくださった皆様には感謝しかありません。本当にありがとうございます。


この作品はこれにて完結とさせていただきます。また別の作品も書いていこうとは思っておりますので、ご機会ございましたらその際はよろしくお願い致します。


改めまして、ここまで読んでくださった全ての読者様。本当にありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

浮気した彼女を見返すために、幼馴染と幸せになります 白浜 海 @umisirahama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ