問答
「……これで全てを終わる」
私の復讐もこれで終わりだ。どうせなら、私を侮辱した全ての人間を巻き込んでやろう。さっき教室で私のことを侮辱してたやつら。優吾くんとその取り巻きの人達。もちろん、あの2人も。
私はあることないこと全てを私の遺書として書いて屋上へと置いておいた。あとは、柵を乗り越えて飛び降りるだけだ。
「……不思議ね」
私は柵を乗り越えて屋上のから地上を見下ろすようにして立っているにも関わらず、微塵も恐怖を感じないのだ。むしろ、喜びに近い感情さえある。
「……これで終わりね。みはる、私も今からそっちに行くからね」
そう言って私は目を閉じて足を1歩踏み出そうとしたその時だった。
「宮崎!!!!! やめろ!!!!!!!」
「!?」
私が振り返るとそこには、蒼空がいた。肩で息をしながらも真っ直ぐに私を見据えている。どうして蒼空がここにいるの? いや、今更そんなことはどうでもいい。もう全てが終わるのだから。
「おい、宮崎。馬鹿なことはやめて早くこっちに来い。本気で死ぬぞ」
「……死のうとしてるのよ」
「何言ってるんだよ! 早くこっちに来い!」
「うるさい! 私が生きようが死のうが私の勝手でしょ!」
「そんなわけあるか! お前が死ぬことで悲しむ人達がいるに決まってるだろ!」
「いるわけないでしょ! みんな、心の中では私なんて早く死ねばいいって思ってるに決まってる! あんただって、そう思ってるに決まってる! 私を止めるな! 私はこれで全てを終わりにするんだ! 周りもみんな巻き込んで全てを終わりにして、みはるのところに行くんだ! これで私の復讐は終わるんだから!」
これで終わりなんだ。もうこの世界に私の居場所なんてない。誰も私が生きることを望んでいない。そもそもだ。私がこんな目にあっているのは蒼空のせいではないか。こいつがいなければ私の復讐は成功していたはずなのだ。
「俺はお前に死んで欲しいなんて思ったことねぇよ!」
「そんなこと言われて信じれるわけないでしょ!」
ぜんぶこいつのせいなんだ。いや、こいつらのせいなんだ。私の人生を狂わせておいてその言い分はなんだ!
「全部あんた達のせいよ! どうして私ばっかりこんな目に合わなくちゃいけないのよ!」
「…………」
私はもう目から溢れる涙を拭おうともせずに、蒼空のことを睨みつける。本当は分かっている。これは全て八つ当たりだ。蒼空は私に巻き込まれただけに過ぎないのだから。本当は一番の被害者なのだから。でも、私はその事実を認めない。認められない。それを認めてしまったら、私はもう私でなくなってしまうようなきがするのだ。
「なぁ、お前さっき自分が死んでも誰も困らない。みんなそう思ってるって言ったよな?」
「そうよ!」
「本当にそうか?」
「……何が言いたいの」
「お前の親友だった、春野みはるはお前に死んで欲しいと思ってるって本気で思っているのか?」
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