夢題の短編集

1300文字程度でわかるバーチャルYOUTUBER 楽園崎ガブリエラ

「どうもー！こんばんバハムート！バーチャルYouTuberの楽園崎ガブリエラなのですザウルス〜」

Youtubeの動画内で笑顔を披露する、金髪ツインテールの顔面に体がドラゴンという異形の生物。お嬢様系ドラゴンVTuber、楽園崎ガブリエラだ。

ショッキングな見た目や、魔界の名門貴族であるドラゴンと、ロマノフ王家の末裔との、ハーフであるという意味不明なプロフィールを掲げて、供給過多のバーチャルYouTuber業界に乗り込んだ、デビューして半年を迎える大型新人である。

その支離滅裂な設定もさることながら、時折語尾にザウルスをつける、３時間に渡り牛丼を食うだけの生配信を敢行、といった常軌を逸した奇行もまた、彼女の人気の秘密である。

今や、絶大な人気を誇るガブリエラだが、初めから順風満帆だった訳ではない。

記念すべき初配信（初めまして！新人バーチャルYouTuberの楽園崎ガブリエラですわ！初配信ですが、ロシア人とのハーフなのでとりあえずウォッカを飲んで配信します！）の日に、とんでもない失敗をしてしまったのだ。

「必死に生にしがみつこうとする、あの表情がたまらないんですわザウルス〜。

非力ながら頑張って抵抗して、でも力及ばず、窒息させられて、命の灯が消えていく……。ああ！たまりませんわ〜」

あろうことか、初配信の際に、美少女が首を絞められて死んでいく姿が好きという己の性癖を披露したのだ。

　　　　　なんだこいつ変態じゃねーかw

当初は新人の登場を暖かく見守っていたリスナーたちも、彼女のあまりの暴走ぶりに、嘲笑的なコメントを浴びせかける結果となった。

しかし、この配信は物議をかもすも、逆に大きな話題を呼び、次第に己の全てを包み隠さず素直に表現する彼女の姿に共感する者も増えていき、チャンネル登録者数10万人を達成することに成功したのだ。

ちなみに、初配信時の失敗は、表向きはウォッカで酔っ払った、ガブリエラの暴走ということになっているが、この時実は彼女が違法ドラッグを服用しハイになっていたという事実は、彼女のみぞ知ることとなっている。

今日はそんな彼女がもっとも得意とするカラオケ配信である。

「みんなのリクエストに応えて、いつものアレ、やっちゃいまーす。ミュージック、スタート！」

「HEY、HEY、HEY、時には起こせよムーブメントおおおお〜。がっかりさせないで、がっかりさせないで、がっかりさせないで、させない〜でねえ〜」

これぞ、ガブリエラの特技、ダウンタウン浜田が昔歌ってた曲の全然似てないモノマネをする野性爆弾くっきーのモノマネである。

　　　ガブリエラちゃん最高や！

　　　おおおおきたああああああ！

　　　フヒいいいいいいいいい！たまんないザウルスうううううう！

ガブリエラの熱唱に、狂喜乱舞するリスナーたち。有志が行ったアンケートによると、彼女のリスナー男性の約30パーセントが、このモノマネを聴きながらオナニーした経験があるという。(彼女のメイン視聴者層は30代男性である)

「がっかりさせないで、がっかりさせないで、がっかりさせないで、がっかりさせないで、がっかりさせないで、させない〜でね〜」

今宵もまた、ガブリエラの歌声ととも、リスナーたちが絶頂を迎えるのであった。