第32話「中学生レベル」
「さぁ〜行こう」
けんちゃんの間違えた一言でA面コートの試合が始まった。
(全員にボールを触らせたいところだけど、まずは先取点を優先するか)
「さぁ〜来い1年!!」
キャプテンが叫んだ。
けんちゃんは冷静にボールをキープしながら全体の動きを見ていた。
(やっぱ、みんなの動きはバラバラだな。試合前にもう少し打ち合わせが必要だったか?)
そんな中、
「へい!!」
相沢君がハイポでポジションをとった!
ビッ!
けんちゃんはワンフェイクを入れ相沢君へパスを通した。
相沢君は先輩を背負う形で右へターン、3年生も反応するがシュートフェイクを入れ右手で優しくボールを出した。
「ナイスパス」
けんちゃんは静かにボールを受け取り、
スッ
無人のゴール下を駆け抜けレイアップを決めた。
シュートが決まった後、コート内は静まり返ったが、
「次!!ディフェンスだぁ〜!」
と、けんちゃんが叫ぶと相沢君以外の1年生が慌てて自陣に戻った。
「みんなぁ〜!!。この後のオフェンスは順番にポジションを回していこう!。」
「それ面白いじゃん!!じゃ〜次は俺がPGな。」
「じゃ〜僕はSFやろうかな。」
「俺はCにはいるわ。」
それぞれがポジションを選択し、
(ディフェンスはどうすっか?)
相沢君がセンターに、けんちゃんがトップの位置にポジションをとっていた為、出遅れた1年は2人に動きを合わせた。
「とりあえず2-1-2のゾーンでやってみるか?。」
「オッケー!!」
(即席チームでゾーンとは・・・)
3年は外で何度かボールを回し、3Pシュート
シュ
ガサッ
「あれま・・・。ゾーンじゃダメか」
「1年チーム!いきなりゾーンなんてやらないで若人らしくマンツーでガンガン当たりなさいよぉ〜!!」
(かおねぇ〜の言う通りだな。じゃ)
「俺はキャプテンにつくな!」
「じゃ〜俺は7番につくわ。」
続く1年生の攻撃、
「あれま。俺にボックワンかぁ〜」
3年生はゾーンを敷き、けんちゃんへのマンツーを出してきた。
ガードがパスの出しどころを探すも相沢がポジションを取るとダブルチームで攻撃を潰された。
「そう来るか?」
ピピィ〜
「24秒!バイオレーション」
「あらあら、中学を卒業したばっかりの子達を相手に大人気ないわね」
香織さんがつぶやいた。
「県内でも強豪と言われる城西の3年が1年を認めた証拠でもあるけど」
(そう言う見方もできるのかぁ〜?2人とも凄いな!)
「さぁ〜お二人さんはどうするかしら?」
その後は、けんちゃんがPGに入りゲームをコントロールしようと試みるが全体的な攻撃のカードが足りず点差は広がり始めた。
「やべ〜な・・・。相沢ぁ〜!!ちょっといいか」
けんちゃんと相沢君が小声で話し始めた。
「なるほどな!面白い!」
残り時間
2分
「さぁ〜一本守って流れを変えるぜ!!」
けんちゃんが叫ぶ。
「なっ、なに!!」
3年生チームがボールを入れた瞬間
「くらえっ!!」
「いくぜ!!」
けんちゃんと相沢君がダブルチームで当たりに行った。
「まじか?こいつら」
ドリブル、パスコースを2人で消す様な激しいディフェンス。
「こりゃ〜しんどい。しかしお前ら2人が俺につくと言う事は1人が空く」
「パスを出される前に取りますから。」
「そう言う事なんで宜しくお願いします。」
「こいつら。」
(この2人だけは中学レベルじゃねぇ〜な。)
ピピィ〜
ラスト2分で存在感を示した2人だったが、チーム力で3年が圧倒してゲームが終わった。
「まぁ〜まぁ〜だな。まずは2人。」
オールコート こたろー @otake4124
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