厨二病の高校生と天様

美野新一

第1話

この世界は間違っている。

俺は常にそう思いながら生きている。そして、この世界を変えることが出来るのは俺だとも思っている。だが…俺は特殊な能力がある訳じゃない。何度も練習しているが、いつまで経っても何たらの呼吸とかが使えるようにはならない。せめて1つでもカッコイイ技や能力が使えれば…。

そんなことを考えているうちに知らない道に来てしまっていた。ふと隣を見ると、そこには神社があった。だが、不思議なことに、その神社は名前が書いておらず、何よりも『天様が祀ってあります。』と書かれた奇妙な看板が置かれていた。

(天様って誰だよ…。そもそも神様なのか?)

不思議に思いつつも、俺はこの神社に参拝することにした。

「もしもこの神社に本当に神様がいるなら、俺を最強にしてください。マジ頼みます。タバコ置いとくんで。」

そう言って親父のハイライト(タバコの商品名)を賽銭箱の隣に置いた。すると、一瞬光ったあと、目の前に龍が現れた。

「うわっ!誰!?」

「我の名は天。龍の形をした神様よ。」

龍はそう言うと続けて

「そなたは私にタバコをくれたから礼に願いをひとつ叶えてやる。」

と言った。

何が何だか分からない。というか、ツッコミどころ多すぎるだろ…!急に目の前に現れて、自分は神様だって?しかも名前超変だし!それになんでタバコの礼?そんなにタバコが嬉しかったのか?もしかして、ヘビースモーカーなのか!?てか、それ以前に神様ってタバコ吸うの?しかもコイツ龍だぞ?


…なんだか、この世界にはまだまだ知らないことがいっぱいあるんだな。


いや、待て待て。そんな感想に入る前に、コイツさっきなんて言った?俺の願いを叶える…?え…マジでか!!それなら俺の願いはひとつ!

「俺の願いは、俺を最強にしてくれ!だ!!」

龍は頷くと、再び凄まじい光を放った。次の瞬間右手から力が湧く感じがした。

「これでお前は最強なはずだ。1つ能力を与えたからな。右手を前に出して、出ろ!と叫んでみろ。」

能力?一体なんの能力なんだ?何が出るんだ?もしかして、レーザービーム!?そうだったら最高じゃないか!よし!

「出ろ!!!!!」

言われた通りに叫んだ。すると、なんと右手からレーザービーム!…ではなく、大量の天かすが出てきたのだ。

「ん…?あれ…ビームは…?あ、もしかして、この天かすが爆発するとか…?」

「いや、ただの天かすだ。天かすは様々な料理で使えるからな。今のそなたは料理をいつでもワンランクアップさせることの出来る最強の食事人だ!!」

「いらねーよ、そんな最強!大体何!?最強の食事人って!?しかもなんでよりによって天かす!?もっと他にいい調味料とかあっただろ!」

「ほら、我の名は天だと最初に名乗っただろ?だから天かすがいいかなーって…。ちなみにこの物語の題名の天様は天かす様の略ね。」

「え、そんな理由なの?てか、天様ってお前の事じゃないんかい!!」

マジでかよ…!最強にしてくれって頼んだらまさかの右手を天かす製造機に変えられちまったのか!?

「これどうやったら元に戻るんだよ!」

「残念だが、1度変えてしまったらもう元に戻すことは出来ない。我の元嫁のように…」

いや、誰もお前のそんな過去知りたくねぇよ!ていうか、これ元に戻らないのかよ…!!!俺は一生天かす製造機として生きていかなくてはいけないのか…!





ハッ!!あれ?さっきのは夢か…。夢オチとか、小説としては1番しょうもねぇけど、今回のは夢でよかったぁ…。

お、今日の朝ごはんは卵かけご飯か!早速卵を割ってと、あれ、なかなか卵が出ねぇな。

「早く出ろよ。」

パラパラパラ…………………………って、え?

なんで天かすが出て…まさか!!!

夢じゃなかったァァァ!!!!!!!!!

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厨二病の高校生と天様 美野新一 @sorakaitoore0316

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