三年生

第114話 進路

始業式


今日から高校三年生、高校生も残り一年と考えるとなんだか感慨深い。


「行こ」


さやと共に家を出て学校に向かう。

今日はクラス発表がある。


正直、心配すぎて辛い。


これで、さやと違うクラスだったらどーすんだよって話。


ちなみに、終業式で優が先生にプレッシャーかけてた。

効果があるかはわからないし、逆効果にもなりかねない。


「はぁ…」


「大丈夫」


「だと、いんだけどね」


足が重たい。


ちょうど、校門前で花音たちと合流した。


「さて、違うクラスだったらこの学校潰す」


いや、怖いっての。優は殺気を振り撒きながら俺らは、クラスを確認しに行く。




「…ふふふ。よし」


嬉しすぎて、変な笑いが出てきた。


「ん。よかった」


ちゃんと今年も同じクラス。これで、学校に行く理由ができた。危うく退学するところだったぜ。


ちなみに、優と花音も同じクラスだった。


「脅して置いてよかったよかった」


優がすごく不穏なことを口走っているが、まあいいだろ。


「さやちゃーん今年もよろしくね!」


「ん。よろしく」


先生が2年から変わってないことを考えると、面倒くさい俺らを押し付けられたような気がしないでもない。


「クラスいこーぜ」


3年は2階だから2年の時より一階低い。


「ああ、この階段の少なさに一番感動してる…」


「ああ、わかる」


俺と優はそんなことに、感動を噛み締めている。


「…あんたたち何に感動してるのよ」


「ん、変」


変って…ひどくない?


これは大切なことですよ。


教室に着くと、黒板に貼られた出席番号中の席に座る。


残念ながらさやとは少し距離がある。

まあ、高坂と成瀬なんだから当たり前だが。

そして俺の席は河井と小西の間。木村とかいてもいいじゃん。

てかいろよ。なんで『か』から『こ』まで誰もいないんだよ!


後ろの人から何かを感じる。


「何?」


「よかったな、花音の後ろで。俺は二つ後ろだよ」


顔が笑ってない。というか殺しにきてない?


「はいはい。先生に言ってから変わろうね」


「うむ」


うむじゃねーよ。


変わる理由はテキトーに目が悪いとか言えばいいだろ。


うんうん。

流石に花音と優に挟まれるのは辛い。特に優が後ろなのが辛い。


先生が来てから始業式を行い軽くHRで自己紹介やら進路の話をした。


「お昼一緒に食べ行こー」


「いいね」


「ん」


花音の提案で一緒にお昼ご飯を食べに行くことにした。


「ま、ここだよなー」


駅前のファミレスに来た。


「財布に優しいからな」


席について料理を頼む。


「そういや、2人は大学どーすんの?」


花音が俺とさやに聞いてきた。


「ちなみに、花音は優と同じでーす」


えぇ…それ、もし別れたりしたらキツくない?


「あ、ちげーよ?偶然同じだっただけで故意で同じにしたわけじゃない」


「まあ、恋はあったかもしれないけどね!」



一瞬俺らのテーブルだけ時間が止まったかのように音が消えた。


「うん。ごめんね」


花音の声でやっと音が戻ってきた。


「んで、お前らどーすんの?』


んー大学ねー


「特に考えてない。てか行かなくても就職先あるし」


頼んだハンバーグをつつきながら答えた。


「うわーずるー」


花音がジト目で見てきた。


「さやちゃんは?」


「んー特には考えてない。周のお嫁さんになるし」


うん。確定なのね。

まあ嬉しい限りなんだけど。


「大学行った方がいいよ!もし、周がクソ野郎になった時とか別れた時のために働けるようにした方がいいよ」


…クズっておい


「花音も、優と別れても大丈夫なように大学行くわけだしねー」


「え、ちょっと待ってそうなの?」


ジュースを飲んでいた優が一番驚いていた。


「ん?そうだよ」


まあ、そりゃそうか。


「優はクズになるかいいやつになるかの二択って感じだもんな」


「だよねー」


「ん。わかる」


「ちょっと君たちひどくない?」


まあ、いいやつになることを祈ります。


ご飯を食べ終えて優と花音と別れて家に帰る。


ソファの上でさやを抱き抱えながらスマホで大学について調べる。


「どーすっかなー」


「周が行くなら行く」


いや、乗りが軽い!


どーしたものかね。



ピンポーン


ん?


玄関へ向かうべくさやを持ち上げてるとドアを開けて雫さんが入ってきた。


「やっほーなんか久しぶりー」


「あ、お久しぶりです」


「ん。久しぶり」


そう言えば雫さんに会うのも久しぶりだな。


「今日はどうしたんですか?」


「んー?仕事早めに終わったし近かったから来ちゃった」


何その彼女が唐突にきちゃった感じ。


「3年になった祝いでお寿司買ってきたからさー」


重箱に入ったお寿司って…


「それで、何抱き合って話してたの?」


抱き合ってたって部分入りますかね?


「大学どうするか話してた」


「ふーん。行きたいところあるの?」


醤油を入れるための小皿を用意しながら答える。


「逆です。ないんですよ。別に行かなくてもいいくらいで」


「なるほどねー。私的にはせっかくいける環境にあるんだから社会勉強としても行った方がいいと思うよー」


なるほどね。


「あ、それかうちで周くんのこと雇うよ」


「いや、それは流石に甘えすぎかなって」


「え?周くんくらい優秀な人材、骨の髄まで絞り尽くしてスープの出汁とりに使うくらいには使い潰すよ?」


笑顔で何言ってんすか?


「む、だめ」


さ、さやさん。


「えー良い値で買うよー」


「…だめ」


ちょっと悩んでたよね?悩んでたよね!?


「まあ、特別な理由がなければ行っときなよ。友達と同じところでも良いし、楽しみに行くつもりでさー」


うーん。うちの親にも相談するか。


「ちなみにさやちゃんには行ってもらうよー」


「え?」


さっきから割と蚊帳の外で聞いていたさやが驚いた様子で雫さんの方を見た。


「行って損することないからね。それとも私が一生養おうか?周くんも一緒でも良いよ」


そう言えるのがすごいっての…

すごく魅力的ではあるけど本当にダメ人間になりそう。


それにしても、割と放任主義の雫さんが行かせるっていうのは意外だな。


「じゃあ、行く」


「うんうん。頑張ってねー」


ここから先は放任なのね。


プルルルル


雫さんのスマホが鳴った。


「Hello,понял. Я иду туда с этого момента」


いや、どこの国の人ですか。


「ごめんね、急にロシア行くことになっちゃった」


うわーグローバルな人だなーー


「なんかあったら連絡してね。あと、私が雇うって話真剣に考えて置いてね?」


雫さんはそう言ってウィンクをして家を出て行った。

相変わらず、いきなり来ていきなり出てくな。


中トロをお箸で掴み醤油につけてから口に放り込む。


「…え、このお寿司うっま」


口の中で溶けたんだけど…


「ん。おいしすぎてやばい」


その後、お寿司が入っていた袋の中に残されたレシートに顔を引きつらせることをまだ彼らは知らない。




(あとがき)


不定期でボチボチあげようと思ってます。

これからもよろしくお願いします。m(_ _)m







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お隣さんは美少女吸血鬼。俺の血がお気に入り 月夜斗 @tukiyatoo

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