最終話 佐賀セイラ
……何も見えない……
……まっくら……
……ここは…どこ?……
「……うぐっ」
真っ暗な…山の中……?
私は…生きている。
しばらく、そのまま動かず今まで起きた事を思い返した。
エリカを殺し、暗殺には成功。
でも、カメリア教団の忍ツバキが現れた。
私はツバキに背後を取られ忍としては完敗。
ツバキは、同じカメリア教団の枢機卿エリカを暗殺する計画だった。
私とツバキは鉢合わせた。
ツバキは最後に言った。
大和にある里は全て潰す……。
"ベリッベリリッ"
固まった血が、地面にくっついている。
「…いてて……ふぅ…ふぅ」
"ベリリッベリッ"
行かなきゃ……
黒髪山が危ない……
イマリ……お母さん……
私は一度、立ち上がった。
でも全身に激痛が走り、再び倒れる。
星がたくさん輝く夜空を見上げた。
―― 12月02日P.M.02:10
私は全身をローブで包み、追っ手の目に
急いで、急げ…みんな無事でいて!
私は、疾走した。
横腹の傷が開いて激痛で転んだ。
急げ、止まるな、走って!
私の身体なんて、どうでも良かった。
走って走って…走った。
―― 12月02日P.M.04:15
里の外から中の様子を探る。
里は無事だった。
古い木のお家は何の変化もなく、そこにあった。
数日しか離れてないのに、すごく懐かしかった。
……!…
もの凄い不安が、心を支配した。
修行場に、誰も居ない?
物音が、何もしない?
……変だ……
里は
私は黒髪山の里に足を踏み入れる。
先生に言われてた
一歩一歩、慎重に歩を進める。
優しい風が吹いた。
そこに血の臭いを乗せて…。
修行場に子供が倒れてた…男の子。
その男の子は、少し離れたところから、頭部のない自分の身体を見つめていた…。
その奥には、女の子…。
首がパックリ開いて、背中に頭部が乗っていた…。
木のお家の玄関。血が大量…。
胸に刺し傷が出来た、中忍の先生が倒れてた。
私は頭がおかしくなりそうだった。
これは何?何なの…?
……イマリ……ッイマリ!
「イマリィ!!イマリィィ!!!」
「返事して!イマリィ!!」
私はイマリを探した。
子供たちの遺体は、たくさんあった。
木のお家、食堂…。
物が散乱して、荒れている。
誰も居ない……。
ううん…台所だよね……。
お母さん。
もう、血の臭いがしていた。
台所に入る。
みんなのお母さんは、食器棚に寄り掛かるように倒れていた。
胸に大きな刺し傷……。
痛かったよね?お母さん…。
お母さんの目を閉じた。
抱き付いて泣いた。
涙が止まらなかった……。
泣きながら立ち上がる。
イマリを探さなきゃ……。
台所のカレンダーは1日に大きな花丸が付いた12月になっていた。
大きなテーブルの横には、お母さんが特別に準備してくれた大きな青い皿が割れて落ちている。
そこにカステラがあったかどうか
覚えていない。
―― 12月10日
黒髪山の里
先生、子供達、みんなのお母さん
全員の遺体はあった。
ただイマリだけは、見つからず。
おねぇちゃん!って帰って来そうで
待ってたけど、来なかった……。
私は決意した。
カメリア教団の忍・ツバキ
あの女を、暗殺する。
私は黒髪山の里を背に、歩き出す。
私は忍なんだ、強く生きる!
私は黒髪山の忍・
MIKOs EX 小さな忍 浦上 とも @ura0912
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