第3話 硝子壜
ある日、誰かが置いていった小さな硝子壜。
晴れた日よりも雨の日が好きで、いつも部屋に籠っていた。
鉛色に染まる部屋の中で誰かが置いていった硝子壜だけが色を集めて光を反射していた。
ただひとつ綺麗だった。
「眩しくて目を閉じている間に、大事なものをもし見過ごしてしまったら嫌だから。だから私は太陽よりも月が好き」
思い出した。これは君だ。
鉛色に染まる部屋の中で君だけが色を集めて光を反射していた。
ただひとつ綺麗だった。
悲しみが解けない。
巡りくる明日にもう君はいない。
悲しみが解けない。
小さな硝子壜にもう花は咲かない。
球体 サネッティ @sanenenene
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。球体の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます