第3話 硝子壜

ある日、誰かが置いていった小さな硝子壜。

晴れた日よりも雨の日が好きで、いつも部屋に籠っていた。

鉛色に染まる部屋の中で誰かが置いていった硝子壜だけが色を集めて光を反射していた。

ただひとつ綺麗だった。






「眩しくて目を閉じている間に、大事なものをもし見過ごしてしまったら嫌だから。だから私は太陽よりも月が好き」







思い出した。これは君だ。


鉛色に染まる部屋の中で君だけが色を集めて光を反射していた。

ただひとつ綺麗だった。








悲しみが解けない。

巡りくる明日にもう君はいない。

悲しみが解けない。

小さな硝子壜にもう花は咲かない。


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球体 サネッティ @sanenenene

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