第2話 その言葉があるが故に

 平和とは悪である。

 先に結論だけ出すと中二病のひねくれた独り言のような、深いようで浅い言葉のように思える。だがこれは僕が中学生の頃、詳しく言えば小説家という夢を抱き始めた頃から今に至るまで持ち続けている持論である。

 

 高校三年生の夏休みは2週間と少しで、就職にするにあたり履歴書の指導がカレンダーを埋めていた。休み、というのは名ばかりで炎天下を自転車跨いで移動する日常に変化は訪れないようだった。


 昨今の都合で世の中は常に変化を続けている。現在日本では戦争を行っていないが、この現状を見て「平和だな」とは口に出来ない気がした。平和ってなんだろ、久しぶりにそんな疑問が浮かんできた。

 

 辞書を持ち出して索引すると、丁寧に戦争の対義語と書かれていた。戦争、日常という鎮静剤で不安が麻痺した日本人には程遠い言葉ではある。僕の日常は確かにこの辞書通りなら平和と言えないことはない。けれど、世界に目を向ければやはりどこかで紛争は起こり、人は命を散らしている。なら、真に平和とは言えないだろう。

 

 「鶏が先か、卵が先か」という言葉がある。卵があったから鶏に育ったのか、鶏があったから卵が産まれたのか、という哲学的なものである。この言葉をお借りして言うなら、「戦争が先か、平和が先か」と僕は言いたいのである。


 争いのない日常をわざわざ平和と表現する必要はありますか?


 皆様にとって平和とはどのようなものでしょうか?

 

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文章を書く練習 雛森 月斗 @Tsukito33

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