黄月児
安良巻祐介
玄関口に顔の黄色い子供が立ってゆらゆらしている。いつからだかわからないがずっと立っている。とにかく顔が大きくて黄色い。頬やひたいや口の端にびっしりと細かい皺がある。おまけに、近寄ってみて気付いたのだが床から少し足が浮いている。尋常の人ではない。だからこれは少し地上に寄り過ぎた満月なのだと思うことにした。近づくとボウボウと何か音を出しているようなのだが気にしない。魚の腐ったような臭いもするが気にしない。見るたびに皺が増え顔が乾いて陰が増えて骸骨のようになっていくが気にしない。明日にも首が落ちそうだが気にしない。それ以前にこのままでは家から出られないがとにかく気にしない。気にしないったら気にしない。このところ毎日お月見ばかりしている。気にしない気にしない気にしない。そうして気づけばあと数分で新月である。…
黄月児 安良巻祐介 @aramaki88
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます