第174話「バザー2」
準備の手伝いが終わったところで一度合流する。
「ジーナ、そっちはどんなものがあった?」
「日用品やカバンが多いように感じました。現状、我々の手持ちにはないものばかりです」
さっそく確認すると、ジーナは俺が欲しい情報をくれた。
やっぱり……ティアが言ったように出品する以外でバザーに関わるほうがいいかもしれないのか。
「バザーがはじまったし、みんなで行動するか?」
五人組なら探せば他にもいるだろうと思い提案する。
「いえ、人数が多いと動き回りにくいでしょう」
とサラが言い、
「引き続き二、三人で行動したほうがよいと思います」
とカレンもつけ加えた。
「なるほど、じゃあそうするか」
バザー参加経験者たちの助言だから素直に従おう。
「今度はサンドラ嬢とかな」
カレンでもいいけど、彼女たちはどう思うのか。
「いいですよ。ティアはジーナさん、カレンと回ってください」
「わかりました」
サラの指示にカレンとティアはうなずき、ジーナは俺が異論を出さないのを見て彼女たちについていく。
「わたしを選んだ理由はあるのですか?」
ふたりになったところでサラに聞かれる。
何となくだったのだが、はぐらかしたように誤解されてもつまらない。
「その恰好をしているところから推測するに、教会関係者もいるんだろう? よかったら紹介してもらいたいと思ってね」
ティアに頼むよりいいだろうと言外に匂わせる。
「カレンでもよかったですけどね」
サラは笑ったが俺を中年の銀髪男性神官のところへ連れて行ってくれた。
「サンドラ様、今回も参加いただきありがとうございます。我らが女神カリ・フォスティもきっと見守ってくださるでしょう」
カリ・フォスティ、つまり光の女神か。
ここは予想通りだ。
光の女神カリ・フォスティは傷を癒す光、不浄を清めて邪悪を討つ聖なる光を司るとされていて、多くの信者を持つ。
「今日は紹介したい人がいるのです」
あいさつを終えてサラは俺を神官に紹介してくれた。
「こちら帝国のラスター皇子。ラスター皇子、こちら神官のロイド様です」
たしか先に紹介されるほうが目上あつかいってルールなんだっけ?
つまり年齢順じゃなくて、血統順みたいな認識でいいだろう。
「初めまして、ラスター皇子」
ロイド神官が驚いたのは一瞬で、すぐにかしこまったあいさつをする。
もっとも公式の場じゃないからか、「うやうやしい」と称されるものじゃない。
まあここでそんなあいさつされたお忍びの意味がなくなるもんな。
「初めまして、ロイド神官。本日はよろしくお願いします」
親くらい年齢が離れている相手なので、敬語は使っておこう。
****************************
漫画二巻発売記念更新
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます