第165話「持ち運び用アイテム」
神官用のロッドはジョットの身長くらい長く、打撃用武器としても使える「見習い用ロッド」だろう。
神官用の服の下には鎖帷子がセットになっていて、最低限の防備にはなる。
商人、マーチャント用の装備と言えば、やっぱり短剣に革の胸当て、すね当てが定番だ。
最後にカルロ用の装備は剣士系職業(クラス)、ソードマンのものらしく、剣に上半身鎧、すね当て、小手と揃っている。
「カルロはソードマンなんだな」
「ええ」
装備を実際に身につけながら、カルロはうなずいた。
「どう思う? ソードマン、マーチャント、神官に君たちが加わればバランスはとれるだろうか?」
同じく装備しながらジョットが問いかけてくる。
「とれると思うぞ。ジーナが前衛職業(クラス)だからな」
俺は即答した。
ソードマンは前衛特化だが、神官やマーチャントは本人の資質や鍛錬次第で、前衛も後衛もこなせる。
神官が近距離戦をやる場合ってだいたいが修羅場だが。
『クロガネの迷宮』なら油断しなければ三人でも何とかなるかもしれない。
これに俺たちが加われば一気に安定感が増すだろう。
「油断しなければ何となる編成バランスではあると思う」
油断したら死ぬぞ、と言外に匂わすことは忘れない。
彼らの戦闘における心がまえまではわからないのだから、しつこくクギを刺すくらいでちょうどいいはずだ。
「五人でもか……いや、それくらい気を引き締めなきゃダメってことなんだろうね」
ジョットは一瞬驚いたが、すぐにキリッとした表情になる。
彼はどうやら慎重なタイプらしいからこっちも助かる。
「次に物資を見ていただきたいのですが、一番重要なものって何でしょう?」
とライルに聞かれた。
「持ち運び用のマジックアイテムだな」
俺は即答する。
「こいつがあると水と食料、消耗品を持ち運びの難易度が下がるし、生存率アップにもつながる」
もしも【アセット】を持っていなければ、俺が今までやってきたことのほとんどができなくなると考えられるくらいだ。
「なるほどね。物資がなきゃ困る状況は多いのだから、物資を確保維持することこそが重要なんだ」
ジョットの言葉にうなずきつつ、飲み込みが早そうだと安心した。
「どんな持ち運び用アイテムがある?」
と俺はライルに聞き返す。
「うちで扱っているのは【ポーチ】と【マジカルポケット】の二つなんです」
とライルは言う。
【ポーチ】は単に荷物を入れるためのカバンだが、【マジカルポケット】は【ポーチ】よりも多く入る上に、保冷保温効果もある。
「なら【マジカルポケット】を三個だな」
迷う余地がなかったので即答した。
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