第153話「ロポール遺跡」
俺たちは相談の末決めてやってきたのはロポール遺跡だ。
敵は強くなく、レアドロップも期待できない。
それでもここを選んだのはふたつの理由がある。
「それでもこのダンジョンがあるのはレスター侯の領地です。覚えをめでたくしておいて、損はないでしょう」
とサラは遺跡を前にした話す。
彼女が言うのがひとつめの理由だ。
レスター侯は原作でも主人公の支持者となる有力貴族である。
彼の支持があるとかなり楽になる……とテキスト説明で片づけられてしまったが、ゲームじゃないこの世界ならきっと重要になるだろう。
もう一つはこのダンジョンは低レベル制限のない「初踏破ボーナス」があるのだ。
帝国にはないこのタイプのダンジョンが王国にはいくつか存在していて、さすが主人公の国と言うべきか。
「今回はカレンがいませんが、何とかなると彼女は言っていました」
とサラは言う。
まあそうだろうなと思いながら俺は石造りの遺跡を見る。
ここは踏破するだけならジーナ一人でも充分可能なくらいだ。
四人だと過剰戦力だと言えるかもしれない。
「まあ油断はしないでおこう」
このメンツで油断しそうなのは俺くらいな気がするが、一応言っておく。
「うん。油断するのが一番危険だもんね」
ティアが微笑む。
まだ前に出る段階じゃないのか、サラと比べたら空気に近い。
ティアを守るための措置だとしたら計算どおりじゃないだろうか。
俺だって原作知識がなかったら、彼女を軽視していただろう。
「ここに出る敵は?」
と俺は聞く。
知ってるけど、聞くという作業こそ大事だと思う。
「グレートラット、ブラックバットの二種類がほとんどのようですね」
とサラが答える。
前者はネズミ、後者はコウモリのようなモンスターだ。
どちらも不潔なイメージなモンスターだというのも、このダンジョンが不人気な理由に挙げていいだろう。
もっとも経験値やドロップが美味しいなら気にしない奴がほとんどだと思うが。
「どっちもレベル5あれば勝てそうだが、囲まれないようにだけ気をつけないとな」
と俺は一応リスクを共有する。
ザコモンスターでも囲まれると厄介な展開になるリスクはゼロじゃない。
特にネズミ系は毒攻撃とかやってくる種が多いからな。
「ええ」
カレンがいないせいもあって、俺とサラの二人が仕切る形になっていた。
ティアは前に出ようとしないし、ジーナが俺を差し置くことはありえないのだから、当然なんだが。
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