第133話「ラサ遺跡⑤」

「サンダー」


 俺たちの戦闘スタイルは基本的にワンパターンだ。

 俺がまず魔法で敵を削り、残ったやつらをジーナが片づける。


 これのくり返しになる。


 ジーナが敵と戦っているところを俺が援護するパターンも、そろそろ練習したほうがいいだろう。


 だが、どっしりと敵を引きつけるカレン、足を止めて戦うティアと違い、ジーナはスピードをいかしたヒットアンドアウェイスタイル。


 だから援護するのが難しい。

 俺が彼女に合わせるより、彼女に合わせてもらうほうが簡単というのが実情だ。


 いい機会だから三人に聞いてみる。

 何度も見られてるのだから、カレンやサラはすでに気づいただろう。


「たしかにスピードタイプと合わせるのは難しいですね」


 とサラが真剣な表情で同意する。


「練習あるのみとしか言いようが……」


 カレンの言葉は参考にならなかった。

 だが、練習せずに上手くなるはずもないよな。

 

「今度ふたりの時にでも練習してみるか」

 

「御意」


 俺の提案にジーナは即答する。

 うん、彼女が拒否するはずもない。


「ここで、わたしたちと練習してもいいんじゃないかな?」


 とティアが遠慮がちに言う。


「うーん、いいのかな?」


 申し出はありがたいんだが、本来の目的はほかにある。

 俺がカレンとサラの様子をうかがうと、


「いいのではないですか?」


 とカレンに言われた。


「わたしたちのために、だけよりはこちらとしても受け入れやすいですね。心情的に」


 とサラも言う。

 ……なるほどな、こっちの都合ばかり考えていたかもしれない。


 彼女たちにしてみれば世話になりっぱなしなのは心苦しいわけだ。


「気づかなくてすまなかった」


 と謝る。


「い、いえ。わたしたちのエゴだから」


 ティアがあわてて言った。

 俺はふっと笑い、


「じゃあさっそくやってみようか、ジーナ」


 と言う。


「はい」


 ジーナは俺がいいなら異論はないのだろう。

 いつものように即答する。


「上手くいかなかったときのフォローはカレンたちに任せたい」

 

「承知しました」


 カレンがうなずくのを横目に、俺たちは行動を再開した。


「右の通路から敵が三体です」


 とジーナが報告する。


「ジーナはまず切り込んで距離をとり、そのあと俺が魔法でとどめを刺そう。それを三回やってみるぞ」


 俺の指示に彼女はこくりとうなずく。

 出現した敵はスケルトン、ミイラ、スケルトンという構成だった。


 ジーナは右端のスケルトンに切りつけ、即座に離脱。


「サンダー」


 俺が魔法を撃って倒した瞬間、彼女は真ん中のミイラに切りつける。

 同じことをくり返して無事に敵を全滅させた。


「いけたが、俺が忙しいな」

 

 ジーナの戦闘速度に魔法を合わせるのはやはり大変だ。


「わぁ、すごい!」


 ティアが目を見開いて感心する。

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