第58話「ユニゾンシステム」

「ウインドショット」

 

 次に風の魔法を使ってみると、激しい火の渦が螺旋を描いて空に打ち出される。

 今のはレベル30相当で覚えられる「ファイアストーム」じゃないか?


 原作ではユニゾンシステムというものがあり、相乗効果のある属性同士だと威力効果を増幅できた。


 だからこそ火とユニゾン効果があった風を最初に選んだわけだが。


 もしかして火焔の祝福と組み合わせることで、より強力な魔法と同じ効果を撃てるようになったんだろうか?


 さすがに威力そのものまで再現できるとは思えないが、普通に撃つより強くなるなら意味はある。


「どうやら火焔の祝福は、俺が思っていた以上に恩恵をくれそうだな」


 ここまでのことは正直予想していなかった。

 

「お見事です、あるじ様」


 ジーナは尊敬の念をこめて言う。

 どうにも俺が謙遜していると勘違いしている気がする。


「この後は一度帰還して、またダンジョンマップとにらめっこだな」


 火焔の祝福と同じ効果がある低レベル踏破ボーナスがあるダンジョン、ぜひとも探しておこう。


 今ほしいのは風、水、雷の三つだからこの三つだな。

 中でも一番応用が利きそうなのは雷か?


 雷魔法の威力をあげることができるし、水や風と雷はユニゾンシステムの対象でもある。


 雷属性なら水魔法で有利をとることもできるしな。


「ではあるじ様、戻りましょう」


 ジーナの言葉にうなずいて帰還して、自室に置きっぱなしにしてあるダンジョンマップを手に取った。

 

 雷属性なら「雷電の祝福」だろう。

 雷のほこらがあるのは王国の南の公国だから、今の俺じゃ行けない。


 代替可能なダンジョンは、基本一つの属性が強いダンジョンだ。


 雷属性が強い帝国内のダンジョン、そして今の俺たちでも踏破を狙えそうなところはと言うと、「雷の川」かな。


 と言っても獲得条件がレベル26までで、なおかつ今の俺が20そこそこだから多少はレベルあげしておいたほうがいいか。


 別にレベルが低いほど恩恵を受けられるわけじゃないから、低レベルも行き過ぎるとリスクが増えるだけだ。


 ジーナは心配いらない気がするが、装備の短刀を新調するのもアリか。


「ジーナ」


「はい」


 ダンジョン探索以外の時にはメイドとしてそばにひかえる彼女に、さっそく次の予定を告げる。


「明日から俺はレベル上げをする。レベル24になるまでな」


「はい」

 

 妥当だという顔でジーナがうなずく。


「その次の予定は『雷の川』にするつもりだから、水属性の短刀でも買うか?」


 そう言うと彼女の表情に迷いが浮かぶ。


「なくても何とかなるかと思いますが、あったほうがお守りやすいのは事実です」


 彼女は遠慮しながらも、俺のためになる選択を捨てきれない様子だ。


「じゃあ買おう」


 今の段階で手に入るものなら、そこまで高くはない。

 それに水属性なら火のほこらでも使えるからな。

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