第43話「アンデッド狩り」
スケルトンの次に遭遇したのはゾンビだった。
ゾンビはスケルトンと違って死肉を持っていて臭いがきつい。
個体によっては日本だとモザイクがかけられそうなグロテスクだったりする。
顔色ひとつ変えないジーナはタフだが、この世界にいたら慣れるかもな。
俺は耐性から何とか平気だが、耐性を持ってない人は今ごろ朝ごはんをリバースしてそうだ。
ゾンビのドロップもなし。
経験値はスケルトンと同程度だが、これだったらいろんな意味でスケルトンとだけ遭遇したいなと思う。
まあダンジョンは俺の意見なんて聞いてくれるはずがなく、ゾンビ二匹にスケルトン一匹というペースで出現する。
かれこれ七匹ほど倒したけどドロップはない。
やっぱり下級アンデッドのドロップ率はしぶいな……頭ではわかっているが、実際に経験させられると舌打ちの一つくらいしたくなる。
実際にやるとジーナが自分へのいら立ちかと誤解しそうだから自制しておこう。
「アサシンになったらスキルを獲得次第、ブローチが振動するはずだよな」
「はい」
ジーナは俺の問いにうなずく。
初期職業以外はブローチを装備しておくだけで、スキルと称号の獲得を教えてもらえるようになる。
初期でもできるようにしてほしい、ブローチなしでもわかるようにしてほしいと思ったのは俺だけじゃない。
七匹倒してもスキルを獲得できないのは当然だが、第二階層に進むかどうかが問題だ。
「あるじ様」
同じことを考えていたらしいジーナがこっちを見て聞いてくる。
「下の階層に進みますか?」
「いや、第一階層にとどまる」
俺は即座に否定した。
敵のレベルは俺たちの実力に応じて変わると言っても、下の階層に進めば中級や上級アンデッドが出るようになる。
レベル15のメイジとアンデッド特攻のないアサシンの二人組だと、上級アンデッドにはカモでしかないだろう。
上級アンデッドはレベルが低くても、今の俺達には危険すぎる相手なのだ。
「かしこまりました」
ジーナも同意する。
まあアンデッド対策スキルを覚えるだけなら、誰を倒しても同じだからな。
わざわざ強い奴と戦う理由はない。
強敵との戦闘で強力な補正がかかる「ジャイアントキラー」を狙うなら、下の階層にもぐるんだが。
その後スケルトンとゾンビをさらに十匹倒す。
全然疲れていないジーナのタフさに俺は心から感心する。
「見事なものだ。頼りになる部下を持ててうれしいよ」
「恐れ入ります」
ジーナは尻尾をぴんと立てて、頬を紅潮させて答えた。
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