第42話「騎士の墓場」
次の日、馬で二時間ほどかけて騎士の墓場へやってくる。
騎士の墓場は紫色の不気味な荒野に無数の剣が突き刺してある場所で、俺たち以外に人気はない。
「あるじ様」
ジーナが不思議そうに呼びかける。
墓場らしき場所はあってもダンジョンがないと思っているのだろう。
俺は刺さった剣のうち、黒い柄のものに左手で触れる。
すると地響きが聞こえて地下への階段が出現した。
隠しダンジョンってこういう意味なんだよな。
「なるほど」
とジーナは感心する。
それにしても隠しダンジョンが普通に載っているなんて、皇族所有のダンジョンマップはさすがと言うべきだろうか。
「目標はジーナがアンデッドに有効なスキルを覚えることだ」
俺はそう告げる。
サンダーやブリッツは有効だが、数に囲まれたらけっこうきつい。
ジーナが対抗手段を持つまでは無理しなくていいだろう。
「承知いたしました」
彼女は当然だと判断してうなずく。
ローグならともかく、特攻系スキルを会得しやすいアサシンに職業変更しているからそこまで時間はかからないはずだ。
ここもタイマツがともっているので明かりは必要がない。
二人で歩いていると、いきなりロングソードを持ったスケルトンが出現する。
スケルトンは戦士の死体がアンデッド化したものだ。
肉体を失っている分だけゾンビより耐久力は低いが、スピードとパワーは上だったりする。
死肉はないほうが身体能力は上がるのか? と個人的には疑問に思う。
原作だとスケルトンとゾンビは同格の下級アンデッドだ。
こいつなら今の俺たちは苦戦しないだろう。
「ジーナ、任せた」
「御意」
予想通り疾風のようなスピードで襲ったジーナがスケルトンを瞬殺する。
スケルトンは首の骨を斬るか砕く、あるいは頭部を破壊することで撃破できるんだが、ジーナが選んだのは後者だった。
後者だったらゾンビも倒せるのでそっちのほうがいいのかも……同じ動きでいいという意味で。
俺たちのレベルが高かったらもっと手強いんだろうなぁと思うが、それだとマゾプレイになってしまう。
「いけそうか、ジーナ?」
「今程度の相手でしたら、四対一くらいまででしたら何とかなると思います」
ジーナは答えるが、もちろん俺を守れるという意味だろう。
スケルトンはゾンビより早いと言っても、あくまでもスケルトンだからな。
レベル20のアサシンのジーナのほうがずっと速い。
俺も安心して後方から指示を出せるというわけだ。
「ドロップはなかったですね」
「下級アンデッドはアイテムを落としにくいから仕方ない」
ジーナに応じる。
強いアンデッドならともかく弱いアンデッドは、経験値と対アンデッド系スキルを覚えるのに利用するくらいしか存在価値はない。
「じゃあ少し進もう」
「はい」
油断はせずに進んでいこう。
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