第44話「称号【アンデッド狩り】」
隠しダンジョンということでペースを抑えめにしたのもあるが、一日でスキルを会得できるほど甘くはなかった。
羽のペンダントの力で城近くの人目につきにくい場所に帰還する。
そして次の日、疑われないために馬に乗って城を出た。
人目がない場所に行って、周囲を確認してからペンダントの力で『騎士の墓場』に移動する。
移動時間を一気に減らせて探索時間を延ばせるようになったなと実感した。
あと何日か同じことをくり返せば、ジーナは対アンデッドスキルを覚えるだろう。
そう思っていたのだが、今日四匹めのスケルトン、ゾンビを入れると七匹めを倒したところでジーナが報告する。
「あるじ様、ブローチが振動したのでスキルか称号を会得したのだと思います」
「そうか」
予定より早いのでよしとしよう。
不意打ちされる心配がないダンジョン通路の隅に移動し、彼女のスキルを確認してみる。
「称号:アンデッド狩り」
アンデッド狩りか……一番オーソドックスな称号だな。
アンデットに対して攻撃力が1.2倍になるが、それだけだ。
ゴースト、ファントムといったもともと物理攻撃に強い霊体系には、これだけだとあまり意味がない。
とは言え『騎士の墓場』を低レベルでクリアするための第一歩だ。
「よくやった」
「ありがとうございます」
褒めておくとジーナはうれしそうに答える。
「レベルはあがったか?」
「はい。1だけですが」
俺もレベルは1上がったのでジーナ21、俺は16か。
まああんまりレベルをあげすぎても困るだけだからかまわない。
現状で大切なのはスキルと称号のほうだ。
「次は移動して、ゴーストを狙ってみようか」
「ゴースト相手ですと、私はあまりお役に立てませんが」
俺の計画を聞いたジーナが遠慮がちに申告してくる。
「目的はお前が霊体に攻撃を通すスキルを覚えることだ」
スキルでも称号でもいいから、とにかくこの子が霊体に普通にダメージを与えられるのが最重要ポイントだ。
霊体へのダメージアップ系はダメージを与えた回数でいける。
特攻系は倒した数も大事になるが、ダメージアップ系と扱いは別だ。
「お前ならゴーストの攻撃をかわし続けつつ、攻撃できるだろう?」
ファントムだと怪しくなるが、下級アンデッドに分類されるゴーストならリスクは低いはず。
「なるほど、かしこまりました」
俺の狙いを察したジーナが納得してうなずく。
ゴースト相手に攻撃回数を稼げごう作戦……そのまますぎるが、ネーミングにこだわる理由がないので、このままでいこう。
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