第31話「スライム乱獲」

 今回はスライムを集める準備をしてヌルヌル回廊へとやってきた。


 中に入ってスライムが出現するポイントまで進むと、ジーナが『アセット』から水コケを取り出す。


 準備と言っても普通のスライム相手だから大したものじゃないのだ。 


 水があるところに好物の水コケをいくつか並べるだけで、スライムは集まってくる。


 雑魚モンスターってこういうところはマジで便利だ。

 十匹、二十匹と集まってきたところで俺はサンダーを放つ。


 まとめて倒せて経験値がホクホクで、レベルアップだ。

 うん、1.1倍のおかげだろう。


 一割アップは序盤だと恩恵は大きいので取っておいてよかった。


「さあ同じことをくり返そう」


 スライムは群れとしての学習能力はゴブリンやコボルトよりも低い。


 だから同じ場所にとどまって何度でも同じ手を使っても、敵の強さのレベルがあがる心配はいらない。


 もらえる経験値も増えるし、有効な攻撃手段さえ持てればコボルトやゴブリンよりもおいしい敵だと言えるだろう。

 

「はい」

 

 ジーナは再びスライムをおびき寄せるために、水コケを配置する。

 

 先ほどよりもスライムたちが集まるまでに時間がかかったが、これは仕方ないかな。


 水コケの存在にすぐ気づける位置にいた奴らは、さっきまとめて倒したんだろうから。


「うん?」


 スライムが六匹ほど集まってきたところで、赤い大きなアメーバのようなモンスターの姿が見える。


「ロドケーテもやってきたか」


 ロドケーテはスライムと同じく水コケを食べるのだが、スライムほどの知覚能力はない。


 そのかわり、スライムの動きを把握する能力を手にしたらしい。


 要するにスライムが集まる先には自分たちのご飯があると考え、スライムを探知機かわりにしているってわけだ。


 前の日は姿を見せなかったからこのダンジョンにはいないのかと思っていたよ。

 スライムと違って弱いモンスターしかいないし、経験値も彼らよりは下だ。


 だがスライムと弱点は共通しているので、まとめて倒せばいいのだから別に集まってくる分にはいいか。


「あるじ様?」


 ジーナが確認するようにこっちを見る。


「あいつらもまとめて倒せばいいさ。雷属性の魔法に弱いって点は一緒だからな」


 これで魔法に強いとか雷が効かないタイプだったら面倒だったが。

 

「はっ」


 ジーナは一礼する。

 場合によっては自分が出るつもりだったのだろう。


 いくらこいつでもスライム七匹とロドケーテ五匹は瞬殺とはいかないはずだ。

 少し待って十二匹全部巻き込める位置になった瞬間、


「サンダー」


 魔法を発動させてモンスターたちを全滅させる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る