第32話「新しい称号」
スライムとロドケーテを乱獲してレベル13になった。
「これはいい成果だな」
「おめでとうございます」
ジーナはそう言ってドロップアイテムを回収し、俺に差し出してくれるがどれもしょぼい。
いきなりスライムのローブが出たのは、低確率の勝利を最初に引き当てただけだったのだろう。
「すべて売ろう」
「かしこまりました」
ジーナはうなずいて『アセット』にアイテムをしまいこむ。
「そして引き上げようか」
ヌルヌル回廊の突破に挑戦するにはレベル15になってからでもいいだろう。
俺がダンジョンにもぐりはじめてからまだ一か月も経っていない。
油断や慢心は禁物だけど、あわてるような時期じゃないのは事実だ。
焦って視野狭窄に陥ると、見落としてはいけないものを見落としてしまうかもしれない。
「御意」
ジーナは黙って付き従う。
さて明日はどうしようかなと思ったが、称号・スキルを一応確認しておこうか。
スライムとロドケーテを狩り続けていれば、不定形生物に対して有利なスキルをとれるはずだからだ。
マメに確認していればこの世界だとどれくらいで獲得できるのか、参考にはなるだろう。
ブローチでたしかめてみる。
「称号・不定形生物狩り、か」
実のところすでに得ていたことにちょっと驚いた。
効果は対不定形生物への攻撃力が1.1倍になるもので、特攻系としては低いものだ。
まあ弱い生物を数十匹倒したくらいで手に入るもんだから、そんなに強くなくても仕方ないよな。
それに現段階だと攻撃力が一割あがるのは馬鹿にできない。
「新しい称号ですか、おめでとうございます」
ジーナは喜び拍手もしてくれる。
「ところでジーナはどんな称号を得た? そろそろ何か得ても変じゃないと思うが」
彼女は俺よりもずっと強いが、それでも得られそうなスキルには心当たりがあった。
彼女の称号・スキルを確認すると「保護者」の称号がついている。
誰かを守りながら戦う時限定で、ステータスが上昇する効果だ。
俺を守りながら戦うことがほとんどだからな。
そろそろ獲得していても変じゃないと思っていた。
「お前にはぴったりのものだな」
「おお、これであるじ様をお守りしやすくなりました」
ジーナはうれしそうに目を輝かす。
珍しく彼女の尻尾が揺れているんだが、感情を抑えきれないほどの喜びだってことか。
「頼りにしているぞ、ジーナ」
「はい! お任せください!」
ジーナは張り切って答えた。
……あせることはない、慌ててはいけないと思っていたが、こうなってくるとヌルヌル回廊の踏破を考えたくなってくる。
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