第20話「湯あみと水着」
ショイサの洞窟を出た後、そのまま城へと帰還する。
洞窟と城は馬でもけっこう時間がかかるので、遅くなりすぎると目立つのだ。
「食事の前に湯あみをして、飯を食ってから魔力検証でもするか」
今日はいつもよりちょっと粘ったので先に湯あみをしたい。
「かしこまりました。お背中を流しますね」
とジーナが言う。
彼女の申し出はいつものことなのでうなずく。
皇子の部屋にはバスルームがついていて、湯あみが好きな時にできるのだ。
もっともこっちの世界だと二、三日に一回ペースが普通で、日本人の記憶と感覚が残っている俺にはちょっと不満だが。
椅子に座ってぼんやり今後のプランを考えていると、準備を終えたジーナがやって来る。
「お待たせいたしました、あるじ様」
と言ったジーナは青色の水着姿だった。
年の割にはけっこう大きくてCか、もしかしたらDあるのかなと考えたくなる。
バスルームは前世の俺の部屋よりも広く、八畳間分くらいはありそうだ。
高級そうな黒い敷材の上に俺が立つと、ジーナが「失礼します」と言う。
そしてまずは湯をかけて、白いタオルに石けんをつけてゆっくりと洗う。
ジーナみたいな可愛い女の子に体を洗ってもらうなんてとてもいい気分で、ラスターに転生してよかったと思える瞬間だ。
「座っていただけますか」
体を洗い終わったところで白いバスチェアに座って、今度は髪も洗ってもらう。
ジーナは力加減が上手いので、髪を洗ってもらうのも気持ちいい。
湯で洗い流した後、白くて無駄にデカいバスタブに体をつける。
「ジーナ、洗い終わったらお前も入れ」
「御意」
ジーナは素直にうなずいた。
俺と同じバスタブに入るわけにはいかないと最初はためらっていたが、俺への奉仕だと言えば彼女は従う。
二人で湯船につかって向き合うと話題がないが、別に無理に会話しなくてもいい相手だから気が楽だ。
ゆっくりつかって上がるとジーナもすぐに続く。
もう少しつかったほうがいい気はするが、こっちの人間はゆっくり湯につかるという文化がなさそうだからなぁ……日本をモデルにした国は別かもしれないが。
ジーナに体をバスタオルで拭いてもらい、服を着るのを手伝ってもらう。
これが帝族の身分なんだよなぁ。
「この後のご予定をうかがってもよいでしょうか?」
ジーナに聞かれたので、
「まずは食事。それから魔力に関する検証だな。時計を持ってきてくれ」
と指示を出す。
「かしこまりました」
皇子なら時計を私物として持っていても何らおかしくはない。
ダンジョンに持ち運びできる腕時計や懐中時計は、買わないと手に入らないのが残念だが。
予算的には買えるんだが、誰も必要だと思っていないから買ったら目立つんだろうな、やっぱり。
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