第11話「状態異常を使ってみる」
翌朝、食事をすませて再びショイサの洞窟にやってきた。
昨日と同じように洞窟の中に進む。
「一日たっているから、ゴブリンの警戒も解けただろう」
じゃなかったとしても他の探索者がゴブリンの群れを潰している可能性は高い。
その場合、時間を置いて再出現するので、どのみち最初に戻ったのはたしかだ。
「……あるじ様はモンスターの勉強をなさっているのですか?」
ジーナに不思議そうに聞かれたので、表情を動かさずにうなずく。
「少しでも強くなれたらいいなと思うようになったんだ」
「ご立派です」
今までがひどすぎただけな気がするが、分厚い忠誠心フィルターがかかっているジーナは素直に感心している。
「まずはゴブリン、コボルトだな。強くなっていけば知識も増やそうと思う」
本当は原作に出て来た連中の情報は知っているはずだが、なぜ知っているのかと聞かれるといろいろまずい。
それに原作との違いがある可能性も念のため考慮しておこうか。
今のところなさそうだけどなー。
ジーナが納得したところで探索を開始しよう。
やはりと言うか最初に出て来たのはゴブリンレンジャー一匹だ。
昨日のくり返しだと作業感を覚えてしまうが、弱い俺に贅沢をいう権利なんてない。
それに狩るのはジーナだし……言い忘れたせいもあるのだろうが、彼女はさっくりとゴブリンレンジャーを倒してしまった。
そしてゴブリンレンジャーが落としたらしい帽子を差し出す。
「ゴブリンの帽子か……売却だな」
ゴブリンメイジの杖だったらちょっとほしいが、ショイサの洞窟にそんな大物は出ないだろうからなぁ。
ジーナが格納したところで彼女に指示を出す。
「次にゴブリンが一匹、もしくは二匹出た場合は俺がスリップを使うから、その後で仕留めてくれ」
「かしこまりました」
彼女はうなずく。
面倒な工程かもしれないが、これをやることで俺がもらえる経験値が増えるので、レベル上げという観点では地味に大事な要素だ。
理由を聞かないのはジーナもその点を知っているからだろう。
少しの間待っているとゴブリンレンジャーがまた一匹やって来る。
「スリップ」
魔法を発動させてダンジョンの地面をつるつるにして、ゴブリンレンジャーを転倒させた。
そこをジーナが瞬殺して、経験値を二人で分け合う。
初めてにしてはいい感じだなと満足する。
スリップは発動対象が動かない床や壁なので、狙いを定める練習をする必要がないのも大きい。
攻撃魔法を覚えたら練習しないといけないんだろうなあ。
ゲームでの情報、ラスターとして暮らした記憶が照らし合わせて考える限り、魔法のセンスにも期待できないんだから。
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