第9話「今後のプランその1」
図書館を出て自室に戻ったところで時計を見る。
夕飯まではまだ時間がありそうだな。
「ジーナ、換金のほうを頼むぞ」
ドロップアイテムを売って資金の足しにするのは重要だ。
皇子だからまとまった金額のこづかいがあるし、それを管理するのもジーナなんだが、俺は弱いから装備に金をかけたほうが絶対にいい。
ジーナもそれを理解しているのか、こくりとうなずいた。
「しばらくの間離れることになりますが、夕食には戻ってまいります」
そう言って立ち去る。
本当は片時も離れないでいてほしいんだが、さすがに心配性かなとも思う。
原作のストーリーがはじまるまではとりあえず殺されたりしないはずだから。
ジーナが離れている間に、この後の計画を練ってみよう。
レベル3になったところで攻撃魔法を一つ覚え、レベル5でさらに一つ覚える。
メイジは回復魔法や状態異常対策を覚える職業じゃないし、ローグだってスキルに回復系は一つもない。
つまり仲間を増やさない限り俺たちは自力で回復できないので、アイテムや装備を買う必要がある。
言われなくてもジーナなら気づいていそうだ。
とりあえず図書館から持ってきた本の一つ、「ダンジョン図鑑」をめくる。
これには帝国内にあるダンジョンの情報が載っている。
レベル5以上で入れるダンジョン、レベル10で入れるダンジョンは知らない名前ばかりだった。
とりあえずレベル30まであげて職業変更まではいきたい。
ラスターだと単独でダンジョンもぐるのも命がけだからな……原作でボスとして出て来た時、レベル15だったのはそういう事情もありそうだ。
中級職の「ハイメイジ」になれたら一人探索も視野に入れよう。
魔法使い系の職業が一人でもぐるリスクは大きいがその分リターンも大きく、隠しボーナスを入手できる。
破滅する運命を避けるためには可能な限りゲットしておきたい。
一番入手しやすそうなボーナスはどのダンジョンでも達成した時点で入手できる、「単独探索者」の称号だろう。
これを入手すると「気配探知」スキルのほかに、敏捷と魔力にボーナス修正がつく。
これを覚えれば魔法使い系の魔力がさらに伸び、弱点の敏捷・回避能力が改善される。
俺にとって非常にありがたいうえに、別に単独行動してない時でも恩恵を受けられる点が特に重要だ。
ジーナだって俺のことを守りやすくなるだろうし、彼女が動きやすくなることはダンジョン探索が捗ることを意味する。
もっとも単独でダンジョンを踏破するためには、回復ポーションを充実させておきたいところだ。
特に魔力切れになると致命的なので、マジックポーションの備蓄は不可欠である。
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