第4話「最初のダンジョン」
いきなり首に短刀を突きつけられたおかげで、冷や汗で背中がぐっしょりになっている。
だけど、いつか来るはずだったやばいイベントを一つクリアできたと前向きに考えよう。
ふーっと息を吐いたら今さら恐怖で体がぶるっと震えた。
ジーナはとても申し訳なさそうに清潔な布を取り出し、体を拭いてくれる。
「あるじ様、私のせいで」
「いいよ」
ジーナは拭きながら何度も謝ってくれた。
「実は夢を見たんだ。このままじゃ俺はみじめに死ぬって。すごく生々しくて恐ろしい夢だった」
ラスターが情けないのは彼女も知っているので、怖そうな顔をして話す。
「あるじ様は私が命にかえてもお守りいたします」
ジーナはキリッとした顔で主張してくる。
この言葉にいつわりはなく、彼女はラスターがどんな道を行こうともついてくるし、そして守ろうとして一緒に破滅してしまう。
俺は自分が助かりたいのが一番だけど、できれば彼女も助かってほしいと思うのだ。
「ああ。どうせなら二人で強くならないか? 俺が強くなったほうが、ジーナだって守りやすいだろう?」
「それはその通りですが……」
ジーナは困惑する。
危険なことは避けてほしいという思いと、ある程度強くなったほうが動く安いという現実的な考えがせめぎ合っているようだ。
「俺は死にたくないから、少しずつ強くなりたい。まずは手ごろなダンジョンにでも入りたいと思う」
「……かしこまりました」
死にたくない気持ちをくり返すとジーナは仕方なさそうに返事をする。
彼女立って俺を死なせたくないんだから、協力はしてくれるだろう。
「あるじ様は私がお守りいたします」
何やらキリッとした表情で決意をみなぎらせていた。
「ああ、頼りにしている」
そう言うとジーナは張りきった顔でうなずく。
「で、何か手ごろなダンジョンは知らないか?」
俺が知っている帝国ダンジョンは基本的に高レベル向けだけだ。
というのも、帝国ダンジョンにプレイヤーが入れるのが中盤以降だからだ。
もちろん原作では出てこなかっただけで、レベル上げに使うものがあるはずである。
「帝都の北にあるショイサ洞窟はいかがでしょう? レベル1からでも入れるダンジョンです」
ジーナはそう言った。
「いいな、そこにしよう」
レベル1からで大丈夫なら、俺だって何とかなるだろう。
「ところで俺のレベルはいくつだろう?」
1だと思うが自分でわからないのも問題だな。
「こちらをお試しください」
ジーナが青色のブローチを差し出したので、何となく触れてみる。
すると「レベル1、メイジ」と表記が出た。
「測定ブローチです」
「なるほど」
原作じゃなかった設定だなと感心する。
「ジーナは?」
俺が問うと彼女が自分で触れてみて、「レベル15、ローグ」と表記された。
すでに彼女はけっこう強いらしい。
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