第2話 異世界だけど異世界じゃない
「…ん」
ムシムシする暑さで目が覚めた。視界にはキレイな青空が広がっている。森の中かとおもったが、床は固いし遠くでめちゃくちゃ人の声が聞こえる。…どうしたんだろう。何かの集会とか村の祭りでもあるのだろうか…?いや、ドラゴンが出たぞ!的なヤツか?それならまずい、俺が助けに行かな…無理か…殺されて終わりか…
「おいしょっと………………え」
目の前に広がっていた景色は、森でもなく、村の祭りでもなく、ドラゴンを討伐する勇者達の姿でもなく、…日本の街だった。それもただの日本じゃない。これは…
「日本…なんだよな…?」
今自分がいるのは、沢山の高層ビル達の中でも一番高いであろうビルの屋上。 目の前のデカいショッピングモールの先には、東○タワーが3倍になったような建物。空中に位置する長い道路。
そして…一際異彩を放つ、古そうな空中要塞。ここだけ世界観おかしいし色々ツッコミたいけど…
「…詰んだな、コレ…」
どうする…異世界っちゃあ異世界だけど…ちょっと違うな…つーか!
「どうやって降りようか…」
後ろにはドアがあるけど…多分空かない。開いても警備員に見つかって即警察行きだ…
となりのビルまで結構距離あるし…大声で叫ぶのもちょっと怖いというか…
人が来るまで待つしかないのかな…?
「でも水ないし…脱水で倒れたらそれこそ死ぬし…というかここで死ぬのは嫌だし!」
「…おい」
背後から突然、低い女性の声がした。
「ヒイィッ…!?何!?なんすか!?殺しに来たんすか!?」
振りかえると、そこに立っていたのは俺と同じくらいの背の、紫色の髪をしたキレイな女の人だった。手には小銃を持っている。
「お前…どうやってここに登った?ここは学生の来る場所じゃないぞ」
そうだ…俺今制服着てるわ…しかも長袖だ…季節感バグってると思われてるかもな…
「えっと…不法侵入じゃないんですよ…あの…俺、異世界から来たんです!」
「…は?」
ヤバい、マジで中二拗らせてる人みたいになってる!?
「ホントなんですよぉ…信じてくださいよ…あ、土下座ならいくらでもしま」
「もういいわかった、とりあえず一緒に来い」
そう言って彼女は後ろのドアを開けた。
「だ、大丈夫っすか!?不法侵入にならな」
「ならない。」
「あ、はい」
異世界転生したけど何か思ってたのと違う @tablecloss
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