第1話 陽気な青の女神様
目覚めると、俺は白くてだだっ広い空間の中にいた。
マジで何もない、ただの空間。
「ここは…ってあれ!?俺って死んだんじゃ……あああああああ!!!!死んだんじゃない!殺されたんだ!」
…俺がアイツをいじめてる、俺がSNSにアイツの顔が写っている写真を載せた、と勘違いされて、家まで呼び出されて殺された。
俺は…満のこと親友だと思ってたんだけどな。
「…いかんいかん!泣いたらダメだ…!もう俺は死んじゃったんだから…いつまでも過去の事考えてたらその内病MAAAAAAAAああああああ!!!!」
突然、上から青っぽい女神みたいなものがストンと落ちてきた。
「よっす!こんちゃ!」
彼女は青いポニーテールを揺らしながら顔を上げて気さくに挨拶をした。
「ゴ、…ゴンチャ!」
俺も気さくに挨拶をする。…が彼女は何故か怪訝そうな顔をした。
「タピオカ…?まーいーや、あたしの名前はナルカ!タメ口と呼び捨てでいーよ!」
「俺のなま…」
「知ってる知ってる!河原湊、高校2年生、バスケ部の副部長、出席番号は5番、飼っている猫の名前はオートミール・フレグランス、3日前に校則をガン無視して髪を真っ白に染めた、いじめられた親友を助けようとして病んだ親友に何故か勘違いで殺された超絶可哀想な人でしょ?」
「…何でオートミールフレグランスの事まで…!?」
「つーか結構闇の深い死に方なのに全然精神的ダメージ受けてなさそうだよね、なんで?」
「何でって…そりゃ深く考えたらこっちまで病んで自殺しそうだし」
そう答えると彼女は申し訳なさそうな顔をしてこう言った。
「あーごめん、思い出させちゃったね…ところで!!!」
「…?」
「ニュ…異世界に行きたいかーーーっ!」
彼女は右手を思いっきり下に下ろした。すると…ボン!
「うおっ!」
青い爆発と共に、何かが床に落ちる音がした。
「これって…剣…それに本も…」
そう、足元に落ちていたのは異世界ファンタジーな剣、そして分厚い…魔導書やキレイな瓶に入ったポーションなど…とにかく沢山の異世界的なアレ。
「そう、あなたを異世界転生させてあげましょう!しかも強い道具付きで!」
「…うおっホォイ!!!え!マジで!ホントに!?」
やったぜ!俺ラノベ大好き人間なんだけど!!
「…じゃあキミと一緒に行こうよ…みたいな気持ち悪いこと言わないでよ?」
「わーかってますよ!!さー!どれにしよっかな!」
俺はしゃがんで下に落ちた物を物色し始めた。
「ねーナルカ!これってどうやって使うの?」
「…これはね…、こうやって振ると!」
「おおーっ!スゲー!火だ!」
しばらくそんなやり取りを繰り返している内に、俺は少し変わった物を見つけた。
「これって…銃…いやライフル?」
「…あー…それ?なんだっけ?……銃、だねよくわかんないけど」
「わかんないのかよ…あーでも待って、コレいいかも!」
「マジで!?全然異世界的なアレじゃないじゃん!むしろ近未来だよ?」
「いやー!こっちの方が王道っぽくなくていいな、もしタイトルつけるなら…異世界をSF武器で無双…」
「大丈夫でーす!じゃあそれでいい?」
俺は大きくうなずいた。
「いくよ!目つぶって!」
彼女は変な呪文を唱え始めた。ハァ…俺もついに異世界転生できるんだ…!
「うわっ!」
目を開けると、俺の体は宙に浮いていた。
そして目の前には、紫色のブラックホールのようなものが。だんだん体がそこに近づいている気が…
「じゃ、じゃあな、ナルカ!」
「うん!頑張って楽しい異世界ライフを…ってちょっと待って!伝え忘れてたけど十万分の一の確り…」
「えちょっとなんだよ聞こえな…」
…俺は結局、最後までナルカの話を聞き取れないまま、紫色の穴に吸い込まれてしまった。…まあ…多分…大丈夫だろ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます