第10話 シミットと商店街
ドルムシュが辿り着いたのは、旧い商店街の入口すぐ横。店は坂道に沿って遥か先まで
坂道を登っていくと、シミットを
押し負けて、結局二個買う羽目に。受け取ったシミットは、
これは親仁が正しかったか。あっさり二個いけそうだ。
シミット片手に歩き出す。焦げた胡麻の香りが香ばしい。
左右に並ぶ商店は、何処も似た商品を扱っている。
トルコでは、同種の物を
そのうち民藝品を飾る店が増えてきた。
目につくのは、青い眼玉の御護りナザール・ボンジュウ。数個連ねてシャンデリア風にしたトルコランプ。青・赤・黄と発色も鮮やかなタイル。キリム生地のバッグやクッション。トルコ絨毯。
この先にはアンカラ城址があるので、観光客を目当ての店なのか、とも思う。
振り返ると、この辺りは高台になっていて、眼下にアンカラの下町が広がる。複雑に入り組んだ路地を
路地に目を遣れば気儘に寝そべる猫たち。店内だろうとレストランだろうと、我が物顔で往き来する。
ふと目についた簡素なモスク(トルコ風に云うと、ジャーミィ)に入ってみると、タイル張りの静謐な堂内でお祈り中の人がいた。金曜日以外でもお祈りに訪れるのは、熱心なムスリムなのだろうか。
邪魔にならないよう端に寄って中を見渡す。欄干で区切られたエリアで、ゆったりした服にスカーフ姿の女性が二人お祈りしていた。お祈りの場所は男女で分かれているものらしい。
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