第21話 白を好む

20年ほどかけて少しずつ収集して、愛用しているキャラクターの食器や文具たち。

今日もお気に入りのマグカップで、お気に入りのコーヒーを飲んでいた。

ニ杯目を淹れるときに飲み口が欠けていることに気がついたが、驚いたことに、想像していたよりショックを感じなかった。

長年のコレクションで他にも同じキャラクターのマグカップを持っている。

一つのマグカップが終わり、次はどれを使おうか考えるのが先だった。


ショックをそんなに受けなかった理由はわかっている。

一年半前に、茶碗を買い替えるタイミングで、シリーズものの白い食器を新調した。

他にも欲しい食器はあるけれど、今持っているキャラクターの食器が使えなくなってからでも遅くないと思い、一時保留にしている。

今の私は生活をシンプルにしたいようだ。

他の家具や小物や洋服も、買い替えのタイミングで白や生成りが増えていった。


年齢を重ねたからか、そういうタイミングだったのか。

自分の良くないところや汚い部分を直視する場面が増えたように思う。

そんなときに白を基調とした部屋は、トゲトゲした気持ちを幾分か和らげてくれている。

好きなキャラクターでは満たされなくなり、逆に落ち着かない。


長年愛用してきたものが入れ替わっていく寂しさはあるけれど、今の自分にちょうどいいものを取り入れる良い機会だと転換する。

使う機会を失っていたマグカップたちの一つが、明日から食器棚を出てテーブルにやってくる。

同じように入れ替わっていって、いつか白いマグカップに変わるのだろう。

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日常の無題 @Shin_5

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