第5話 【冒険者ギルド登録と空撃の魔女 2 】

 俺が故郷の村を出発してから既に、2週間ほどが経過した。2週間も時間をかければなかなか進むもので、俺は既に目的地までは、あと半分と言ったところまで進んでいる。

 俺が今、目指しているのは帝国の中でも1番の都市である帝都リンドヴルムである。いや。帝国の中でも最も繁栄している、世界全体で見ても有数の大都市だ。

 まぁ実を言うと実際のところ、俺は既に帝国領内には入っているのだが、帝都はその中でもかなり端の方に存在しているため、これほどの時間がかかっているのだ。

 果てしなく広いんだよなぁ……。


「それにしても、静かだな……」


 あまりの静寂さに、思わず俺は呟いた。


「それに暇だし」


 ここ3年は毎日、婆さんと共に一日のほとんどの時間を修行に費やしていた。例えば、1週間不眠不休で、ぶっ続けで特訓をしたこともある。

 ……さすがに、それは死ぬかと思ったけどね。

 とりあえず、今までハードな特訓を毎日してきた俺だが、今は移動中のためそんなことは出来ない。いやできると言えばできるのだが、ここ一帯はロリババエルフ情報によると、魔物がよく徘徊しているため、そんな中での訓練は遠慮したいところだった。

 もちろん、メリットも十分にあるだろう。

 だが、俺は自分の感性に正直に従うことにする。

 ただそうなった結果、特にすることも無く、俺は暇を持て余していたというわけである。退屈は人を殺す……とはよく言ったものだ。今ならその気持ちが十分に分かる。


「とりあえず、実戦をしてみたいから……どこかに魔物とか出ないかな。さらにできれば、お手ごろのやつで」


 婆さんとは対人戦闘を何度も繰り返していたし、俺は実戦を経験したことはまだ1度もなかった。

 もちろん、魔物と戦ったことはある。ごく稀に山から降りてくる魔物を修行の一環として、婆さんの代理人となり俺が退治したというものだが。

 しかし、それはあくまで婆さんに指示されて行ったものであり、自らの意思が関与していない部分で実戦と言い切るには少し違うと思うのだ。命のやり取りをしているのは同じだが、緊張感の走る雰囲気など、足りないところは色々あったと思うから。

 それに、修行の内容としてはその九割九分が命をかけたものでは無かったので、命のやり取りに今のうちから慣れておきたい、と俺はここまでの道のりの中ですっかり考えるようになっていた。

 ちなみに現在、俺が歩いているのは具体的な地名は知らないが、帝国にあるとある大森林である。

 周りは爽快な自然に囲まれている。それ自体はあの村と同じだが、規模が桁違いに違った。

 確実に10メートル以上ある大樹だって何本も存在している。ひとたび天を見上げれば、緑陽の陽光が葉の隙間隙間から漏れ出ており、その光景はどこか幻想的で、祝福を受けていりようで美しい。

 まぁ、そんな景色も、数十分も眺めていれば飽き飽きしてくるものではあるが。

 そして当たり前だが、そんなところなのでもちろん人の気配などは、俺以外に存在してない。



 ◇ ◇ ◇



 そんなこんなでしばらくの間、ぼうっとしながら歩いていていた俺だが不可視の何かを感じとり、すぐさま足を止める。


(……いるな)


 生き物の気配がしたのである。それもかなり大型のもののそれだ。耳を済ませてみるが、無音。ということは移動の際にも全く音を立てないほどには、実力が伴っているということだろう。まるで、暗殺者のような動きである。

 まぁ、婆さんと修行を繰り返してきた俺には通用しないが。確かに無音ではあるが、殺気を飛ばしすぎであるし、何より移動の際に起こる、不自然な空気の流動までは誤魔化しきれていないのだ。


(……まさか本当に来るなんてなぁ。さっきのはただの俺の願望だったんだけど……。まぁ、でも帝都に入る前に実戦を体験できるのはいい事だよな)


 そう考えながら、俺は腰に刺してある世界樹の木刀をすぐさま引き抜き、中段に構えた。

 防御にも攻撃にも応用できる、俺の得意とする構えである。こういう場合、臨機応変さが大事なのだ。

 そしてどうやら、その謎の生物は森林であるが故の遮蔽物を上手く利用して、俺に襲いかかる算段を立てているようだ。これにより、かなり知能も高いと分かる。

 加えて予想できるのが、独特の空気の切り裂きからからして、動作主は四足歩行であるということ。

 この立地からして、例えば……猪や狼などが当てはまるだろう。

 まぁ未だに姿は捉えられていないので、その実態は分からないが……それは言うなれば、顔の見えないにらめっこをしている様な気分である。


「厄介だな……。獲物を見つける。そうしたら、すぐにでも襲ってきてくれればこっちも楽なんだけどなぁ。あくまで慎重に行動することを選ぶ……と。本能をねじ伏せる、理性も持っているのか」


 それはかなり厄介だ。向こう側も、俺が既にその存在を感知していることには、気づいているのだろう。

 だからこうして、焦らすような行動を繰り返す。それにより、俺の精神を摩耗させようと企てているのだ。


「ふん」


 だが、そこにはひとつのミスがある。俺のあまりに図太い精神を舐めない方が良い。それぐらいで、擦り切れる程やわでは無いのだ。

 しかし、その生物はそんなことは知らないだろうだから勘違いをする。そろそろ頃合いとでも思ったのか、それとも弱体化していると見たのか。ついにそいつは、放つ殺気を一層膨らませて、俺に襲いかかってきた。


「────ッ!?」


 後方にある木々の幹の隙間から、俊敏な動きで一直線に飛び出して来るのを気配で察知する。

 バネの効いたとてもしなやかな動きだ。遠吠えを繰り出さないことからも、本気で俺を殺そうとしているのが見て取れることだろう。

 人間の背後は死角であるということをわかっているのかわかっていないのかは定かではないが、この速さで不意打ちで来られるとかなり厄介である。

 3年前の、弱かった頃の俺であれば反応すら出来ずにご臨終だ────が、しかし残念ながら、今の俺の背後は死角ではないのだ。

 そもそも婆さんとの立ち会いでは死角を無くさないと、まず勝負にすらならないのだからね。

 俺は刹那的に獰猛は笑みを浮かべた。


「悪いね────今から君には、俺の初めての実践体験に付き合ってもらうよっ」


 俺はその不意打ちを世界樹の木刀を横薙ぎに振るうことで迎撃した。

 その生物が持つ鋭利な鍵爪と俺の世界樹の木刀が甲高い音を立てながらぶつかり合う。だが、世界樹の木刀が持つ特性『不滅』により、俺の木刀が砕けることは無い。

 渾身の一撃で武器破壊を成せなかったことに苛立ちを感じたのだろう。訝しむように唸る。

 逆に俺は不敵な笑みを浮かべた。全力で力を込めて対処しようと全身の筋肉を奮起する。一瞬の拮抗の末に俺の方に軍配が上がり、そのまま力任せにその攻撃ごと後ろへ弾き飛ばした。

 しかし、相手がダメージを受けるなどという事はなく、むしろ逆にその押し返しを上手く利用して俺との距離をとる。


「上手いな。まさか俺の力を利用されるなんて」


 賞賛の言葉を口にして、ようやくその生き物を俺は観察することが出来た。

 全身が赫赫とした赤毛で覆われている全長3メートル程の巨大な狼だった。かなりの巨体の上に、ちらほらと伺える膨張した筋肉はとてもおぞましい。

 さらには長い牙と鉤爪を持ち、あの鋭さからして喰らえばタダでは済まないことがわかった。

 赤狼が持つ特徴などを予め知っていれば、戦闘を有利に勧められるのだろうが、あいにく俺はこの狼についての情報は持っていなかった。

 冒険者育成学校に2年しか通えなかった俺の知識は、色々と中途半端なのだ。仕方がないといえば仕方がないだろう。初等教育では、ごく簡単で一般的な魔物の生体しか習わないのだから。


「速いくてでかくて上手いから強い……厄介だな」


 俺が冷や汗を垂らしながら、一人げに呟くと同時に魔狼が「ガルルルルゥゥゥ……」といった威嚇の鳴き声をあげる。

 凶暴性が含まれており、思わず身震いする。

あちらとしても、あの一撃で俺を仕留めることが出来なかったことに警戒態勢へと移行していた。

 お互いがお互いに警戒し合っているので迂闊に飛び出す行為は得策ではない。ということで、そのまま威圧を含有させた睨み合いが続く。


(これが実戦の緊張感か。思ったよりも厄介だな。いや、結構洒落にならないレベルだ。本当に帝都に入る前に知れてよかったな)


 事実。俺の身体は初めての実戦の空気にあてられた影響か、思った以上に動かなかったのである。

 あの迎撃はかなり本気で放ったものであるにも関わらず、この赤狼にはあまり大きなダメージは与えられなかったのだ。

 要するに当たり所と速度、力の入れ方の問題である。

 本来であれば、前足ごと吹き飛ばせたはずなのだ。だが、実際問題それは厳しいものである。精神状態に不安定さが生じると、やはり肉体にも影響を及ぼすらしい。

 婆さんが最終試験の時に話していた通りだ。

 しかし俺は、この事を悲観的に捉えたりはしない。もしもこの機会も無いままに、帝都に到着していたら、それこそ冒険者としての初めての討伐依頼で大いに戸惑う事となったであろうからだ。

 そうなるぐらいであれば、帝都に到着する前の今に前もって知れたのは行幸。

 そうして睨み合いを続けることさらに数分……ようやく痺れを切らしたのか、けたましい咆哮を轟かせながら赤狼が俺に襲いかかってきた。

 睨み合いという名の我慢比べは、俺の勝ちである。

 赤狼はその高い脚力と鉤爪を上手く用いて、俺を幾度も攻撃してくる。


「速いけど────ッ!!一直線な攻撃はいただけないな。まるきり、防御してくださいと言っているようじゃないかッ!!」


 俺はことごとくに対応する。時には防ぎ、時には回避をすることで対応を成功させた。

 少々の反撃も混じえる。迫り来る赤狼の無数の鉤爪を世界樹の木刀で強引に受け止めて────。


「があああああああァァ────ッ!!」


 そのまま、鉤爪を木刀に引っ掛け絡めて、力を逃がすようにして全ての衝撃を受け流した。

 水流のごとくしなやかに、優しく包み込むように。

 太刀に攻撃を上手く乗せる。最低限の力だ。

 現に何度も連続してその受け流しが行われたために、赤狼の前足は全く見当違いの方向に攻撃を繰り出すこととなってしまった。


「ガルルルルルルゥゥゥゥッ!?」


 さすがのそれには赤狼も驚いたようで、戸惑いの鳴き声をあげる。攻撃を受け流し、一点にその重点を集めるという技術を見たことすらないのだろう。

 いやまぁ、こんな小手先の技術を見たことがあると主張された方が、驚きではあるが。


(──よし!だいぶ身体も温まってきたし、実践の空気にもある程度慣れたきたぞ)


 今まではどこかぎこちない動きだったが、時間が経つにつれて、動作にいつも通りのキレが出始めてきたのを、俺は認識した。

 世界樹の木刀が持つ特性のひとつ『活性』である。

 俺の精神が活性化され、短時間で緊張状態から適度な興奮状態へと変化し始めたのだ。

 適度な興奮状態は、戦闘能力を向上させるのだから。


「そろそろ、決めさせてもらうよ────」


 俺は、防御から攻撃の姿勢へと変化させる。

 ぐっと低姿勢に屈み、足腰に力を込めて、下半身のバネだけでけたましく大地を蹴った。

 攻守逆転だ。瞬間移動の如く間合いに踏み込んだ俺は、何度も狼に世界樹の木刀を叩きつけ、穿ち抜き、狼を攻撃していく。

 一呼吸の間に繰り出される斬撃は、いくらこの赤狼の反応を持ってしても捌ききることは困難だ。

 何度も赤狼の身体に木刀が直撃する中────俺はさらに、速度を上げ威力を底上げする。考える時間すら惜しい、身体に染み付いた動きだけで放つその連撃。

 特殊な衝撃波と、加速をつけることで、ついに無防備となっていて赤狼の前足を1本……消し飛ばした。


「キャィィン!!」


 赤狼はその致命的な一撃により、バランス感覚を一瞬失い、その体勢を見事に崩していまう。

 だが、当たり前だ。軸となる足を1本失ったのだから。四足歩行生物において、その足がどこか1つでも欠けてしまえば取り返しがつかない事になる。

 それはもはや、移動すら困難だろう。出血量を見ても、別にまだまだ命を失う程の重傷ではない……が、しかし生物というのは、とても柔い。僅かに綻びが生じただけで、それはすぐに全体へ広がっていくのだから。

 そして赤狼の今回の怪我が、それに当てはまるだろう。この赤狼は、もう終わりだ。

 それを見て俺は、せめて苦しまないように一撃で絶命させてあげようと、狼の首元に一撃を放とうとする。


「ガアアアァァァァ!!」


 だが、不意に感じた違和感に俺は眉を顰める。

 言葉では言い表すことの出来ない不思議な感覚が、俺の頭の中で警告を鳴らす。

 だが、俺がそれを本格的に認識した時には、既に狼の行動は終了していた。赤狼が、何十本もの鋭利な牙が生えている凶器的な口をあんぐりと開いた────その瞬間、狼が俺に向かって口から炎のブレスを吐き出してきたのだ。


「なにっ!」


 そこまで炎の太さがあるという訳では無いが、この至近距離から喰らえば致命傷となるのは明白である。

 斬撃や殴打には強い耐性を持つ俺の身体であるが、熱にはそこまで強くは無いのだから。

 俺はそれを避けるために強引に身体の動きを中止させて、攻撃行動から回避行動に移った。下半身だけで跳躍し、急いで旋回しながら狼から距離をとる。

 ────まさか、炎まで吐けるなんて。

 幸い炎の規模自体はそこまで大きくなかったので、空中に吐き出した炎塊は木草に燃え移るなどということは無く、俺は密かに安堵した。

 さすがにこの大森林の木々に火が燃え移り、山火事ならぬ林火事にでもなったら、俺ごときではどうしようも出来ないからな。


「ただ、結構な距離を吐き出せるらしいな。……これは驚いたね。まさか近距離だけじゃくて遠距離攻撃も兼ね備えた万能型バランスタイプだったとは」


 鋭く赤狼に視線を向けると。

 片足は中途半端に途中で切断され、さらには度重なる攻撃で片目も潰されている。全身の至る所に攻撃を受けて充血もしており……もはや満身創痍と言っても良い状態であった。

 そんな状態でよく抵抗した、と賞賛の気持ちが湧き出てくる。


(勉強になったな。実践では最後まで絶対に油断してはいけない。肝に命じておこう……)


 分かってはいるが、今のは俺の油断によるミスだ。

 あの場面でもしもしっかりと油断せずにいたのならば、驚愕することはあっても円運動による回避行動で炎の吐息を避けつつ、そのままの動きで首を取ることが出来ただろうから。


「……ごめん。でも、ありがとう」


 この実践では様々なことを学んだ。

 そのことについての感謝の気持ちと、命を奪うことについての謝罪を狼にする。


「グルルルルルルルルルルルルルルルゥ……」

「────シッ!!」


 そうして俺は刹那の間に狼との距離を詰め、今度こそ、その命を奪うのだった。



 ◇ ◇ ◇



 狼の討伐後、俺は初めての実践で予想以上に精神的疲労を感じていたので、少し休憩をすることにした。

 幾分かの水分を補給しながら、その間に初めて魔物を殺した感想についてを考える。

 初実践が終了したということで色々と俺の心中に渦巻くものがあり、それを整理するためでもある。

 しかし、俺の胸中は戸惑いや驚きで支配されていた。その理由の1つとして挙げられるのが──予想を遥かに裏切られた点があったからである。


(────人は分からないが、魔物は殺すことにあまり抵抗を感じなかった。……魔物は人を襲うということで、無意識に割り切ることが出来ていたのか……?)


 そう。あの赤狼の首を切断する際、忌避感や嫌悪感すら感じなかったのだから疑問に思うのも当然だろう。

 俺は自分でいうのもなんだが、そこまで荒くれた精神はしていないと思う。となると、戦闘前の予想では魔物といえども本格的に生き物を殺せば、気分を害すると思っていたのだが……。

 現に、山からあの村に降りてきた猪や狼と俺は修行の一環として戦う機会があったのだが、それがおよそ1年前のことで、その時は生き物を殺すという行為に俺は動揺を隠せずにはいられなかったのだ。

 そんなこともあって結果的に、頭では理解しているのに肝心の体が恐怖で全く動かず、婆さんの手を煩わせることとなってしまった。

 もちろん、魔物を殺すことに対して快感などは覚えたりはしない。彼らだって、それぞれ何か理由があって人を襲っている。

 だが実際、それとこれとは別問題であろう。


「まぁ、冒険者としてやっていくのなら、いずれ取得が必須な項目だったし……文句はないんだけどね」


 ただただ、理由が気になったというだけである。

 ──そうして数分後。十分に休息をとることが出来たので、俺は移動を再開しようと考え始めた。

 だがその前に、せっかく倒したのだから持てる分だけの肉を解体し、食料として持っていこうとする。

 魔物である以上、討伐したことを示す討伐証明部位を冒険者ギルドに持っていけば換金してもらえるのだが、討伐証明部位がどこか分からないため、とりあえずそれっぽい立派な牙も持っていくこととした。

 俺は魔物なら必ず持つ、力の源である魔石も切り出して持っていこうとも考える。

 となると必然的に、服の内ポケットに仕込んである小型ナイフで解体する羽目になったのだが。


「む、これは……結構厳しいかもな」


 ……うん。そもそも解体なんて技術を俺は婆さんから教わっていないし、道具が貧弱で頼りないナイフ1本なのだからしょうが無いよね。

 そう自分に言い聞かせながら、持ち味である根気強さと粘り強さを持って、下手くそながらも俺は何とか解体を成功させるのであった。

 その後は、毛皮など残りの狼の死体を丁寧に土に埋めて覆い隠す。これは決して独り占めしたいなどという訳ではなく、血の匂いを辿って魔物が凶暴化してここいらを徘徊するのを防止するためから来た行動であった。

 ──すると不意に考える。

 この狼に以前の俺なら瞬殺されていただろう、と。

 しかしそんな相手に勝ったということから、自分の成長度合いについて、改めて実感したのであった。


「よし!」


 そうして一通り済んだ後は、俺はこの大森林を抜け出すことを目的として黙々と歩き始めた。

 もちろん人の手が加えられているはずもなく、都合よく自然が味方してくれるわけもないので、道と呼べる道は無いということから、俺は地図を見ても何度も迷いそうになった。

 さらにその上、その後2回に及んでかなり好戦的な魔物と出くわしてしまった。

 ポイズンスネークとオーガと言う魔物である。

 ポイズンスネークは猛毒をその牙に宿す蛇型の魔物でオーガは図体のでかい緑色の肌をもつ人型の魔物だ。

 しかしあの赤狼とは違い、その2体の魔物の情報については冒険者育成学校で学習していたのと、強さ的にそこまで強くなかったので、問題なく対処することが出来た。

 ……ちなみに、それらの討伐証明部位などは特に回収などはしていない。

 だって、めちゃくちゃ荷物がかさばるんだもん。


「……やっとだ」


 そうして1週間後、様々な出来事を乗り越えた俺は、遂に大森林を抜け出したのであった。

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