第15話 モトヤ生存ルート(10話後)

朝になった。僕たちは、イカダを作るための材料を集めることにした。エミリはイカダでの航海中に必要な食糧を探しに、モトヤは丸太を集めに、僕はロープを前の洞窟まで取りに行くことになった


僕がロープを取りに行っている間に、結構な数の丸太が準備されていた


「これでもう、今日は力のタンクが空だ」


人力で動かせないことも無いが、無理してやることも無いだろう。モトヤにはしばらく休んでいてもらう。僕は持ってきたロープで丸太を結ぼうとするが、ロープの長さが足りないかもしれない


「ヤシの実とバナナよ!」


エミリが収穫物をリュックに詰めて持ってきてくれたが、バナナは日持ちがしそうにないな


「ありがとう、エミリ。ところで、ロープの長さが足りないかもしれないから、ロープを作ってくれないか?」


「え?どうやって?」


「繊維がしっかりした草を繊維に沿って裂いて、それをどんどん編んでいくんだ」


僕は試しに近くの雑草をナイフで刈り取って茎を裂いていく。端っこを結んだあとは、地道にネジネジと編んでいく


「これなら体力も使わないし、私でも出来そうね」


「俺も、力を使わない作業ならがんばるよ」


モトヤもそういうので、僕がイカダをロープで結んでいる間に、2人にはロープを作ってもらうことにした


次の日は、モトヤとエミリにはロープ作りをしてもらって、僕は魚を獲って干物にする事にした。また、草原に仕掛けた罠に運よくかかっていたウサギを解体し、これも燻製にすることにした


イカダを作る時に使った丸太の破片を集め、足りない分は丸太を削って追加する。石でかまどを作ると、その上に洞窟内にあった網を乗せる。あとは、ウサギ肉を燻るだけだ


「ロープの作成が終わったぞ!」


「じゃあ、モトヤは出来るだけ魚を獲ってきてくれないか?今日の分のご飯も含めてね」


「おう、任せておけ!」


「私も、モトヤと一緒に行ってくるね!」


一緒にロープ作りをしていたからか、エミリとモトヤはずいぶんと仲良くなったようだ。僕は、もくもくと丸太をロープで結び、浮力を確保するために竹を組み合わせた


海岸には、クルーズ船で使っていたものだろうか?発泡スチロールや、ペットボトルなども流れ着いていたので、これも利用して浮力を確保した


「お待たせ!大量だよ!」


エミリがバケツに入れた魚を見せてくれた。10匹くらい入っていそうだ


「ありがとう、捌いて干しておいて。あ、陰干しね」


「うん!モトヤ、お願いね」


「わかったよ、これも任せておけ」


僕は海水で作った塩をエミリに渡すと、エミリはモトヤの方へ駆けて行った。僕の方の燻製も作り終わり、あとはイカダを完成させる事だけだ


次の日、イカダが完成した。モトヤに力を使ってもらって海岸に運ぶと、浮かせる。試しに僕が乗ってみたが、全く沈む様子はない


「大丈夫そうだね。万が一にもバラバラにならないように、しっかりと結んである事を確認するのと、ロープの予備を作っておこう」


イカダを流されないように砂浜に戻すと、竹でオールの代わりを作る。予備のロープが完成したので、明日の朝に出発だ


次の日、風もなく、絶好の出発日和になった


「よし、行こう!」


モトヤに海にイカダを浮かべてもらうと、全員で乗った。そして、ゆっくりと竹で押し出して沖に向かう。この小島に人が住んでいたから、近くに有人の島なり、他の船が通りかかることを願う


END




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無人島でサバイバル!小学生が極限生活!? 斉藤一 @majiku77

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ