三日後終わる世界
ちょこっと
世界が終わります
それは突然の出来事だった。
脳内にある言葉がサイレンの様に響き渡った。
「三日後世界は終わります。」と。
僕は信じることができなかった。
「おい神楽、今の聞こえてたか?」
僕の名前を読んだのは最近知り合った
「あぁ、聞こえた」
「どう思う?」
「まぁ、嘘だろうな。そんなこと出来るわけないよ」
「だよなぁー」
それは、当たり前のことだと思う。
三日後に世界が終わると聞いて信用する人は約70億もの人口がいる地球でも手で数えることが出来るくらいだろう。
僕はある違和感を感じていた。
周囲を見渡すと誰もが頭を押さえていたからだ。
これを見てわかる事は一つだけだろう。
「あぁ、みんなにも聞こえていたんだ」
「そうみたいだな」
僕が答えを出すのに数秒も時間を要さなかった。
これは異常だ。
幻聴ではなかったと認識させられた。
僕と真斗の二人だけ聞こえていたのだとしたら嘘であると可能性の方が高かったが全員に同じことが聞こえているとしたら考えたくもなかった。
世界が終わるのが本当なのだという事を。
すぐに僕は携帯をポケットから取り出しSNSで現在の状況を確認した。
『頭に大音量で響いてきたんだけどこれなに? 幻聴?』
『三日後に世界が終わるとかそんなわけww』
『え? みんなも聞こえてたの?怖いんだけど笑笑』
『頭に直接響いてきたと思ったけどみんな聞こえてたら違うんかな?』
『まじ頭いたいんだけど、なんの嫌がらせだよ』
まぁ、だいたい予想は出来ていた。
信じる人なんているわけがないと。
だから、僕はいつも通り真斗と過ごす事に決めのだ。
***
数時間後、事態は急変した。
『もし、三日後に本当に世界が終わるとしたら何もしないまま死ぬとか嫌なんだけど』
誰かの投稿のリツイート数が10万以上にもなっていた。
『万引きしたったww』
『グラ○フみたいに高級車奪ったったww』
『食い逃げ、人生で一回してみたかったんだよねぇー笑笑』
誰かが投稿するたびに鼠講の様に次から次へと犯罪を犯す人々が増えていった。
僕は理解した。
あの言葉を言い放った者を神だとするのなら、そいつは今この瞬間を楽しんでいるのだろう。
「この世界は三日も持たないな」
全てを悟った様に漏らしたその言葉が自分自身の血を巡り脳内で反芻されていた。
刹那の時間だったのだろうが永久の檻に閉じ込められた様に長く感じた。
あの言葉は嘘だったのだろう。
全人類はまんまと神に騙されたと言うわけだ。
***
あれから何時間たったのだろう。
目の前に広がっている光景だけを見たら何十年も経っているように思える。
何もかもめちゃくちゃだ。
車道、歩道はゴミだらけ。
コンビニの中は物が散乱している。
窓ガラスは割られている。
自動車はぶつけたよつに至る所が凹んでいる。
血だらけで倒れている人もいる。
先程まで見慣れていた街は別の世界の様に荒れ果てている。
「これは酷いな、本当に。神楽、お前と会えてよかったよ。もっと早く会えてたら思い出もいっぱい作れたのにな」
「辛気臭い顔するなよ。最後なんだからせめて笑顔でいようよ」
神がこの世を創ったとするのなら崩壊させるのもやはり神なのだろう。
神は無慈悲な存在だ。
だが、人間も対して変わらない。
この世を発展させたのは紛れもなく人間だ。
この世を今破壊しているのも人間なのだ。
結局のところ神と人間はなにも変わらないのだ。
***
結果的にいえばこの世界は1日も持たなかった。
たった数十時間でこの世界は崩壊したのだ。
もう笑うことしか出来ない。
人々は狂った様に今も暴れている。
いや、これは最早人間でもないな。
今回の結果はバッドエンドだろう。
「次は人の感情の一部を消滅させた世界を創ってみようかな」
「え? どう言うことだよ?」
「あぁ、君には言っていなかったね。僕がこの世界を崩壊に導いた張本人さ。ある程度予想はしていたけどここまで予想通りに事が進むとは流石に思ってなかったけどね」
「は? なに言ってんだよ。神楽、そんな訳ねぇよな?」
「まぁ、信じなくて良いよこの世界が終わること自体が信じられない事だと思うしね」
「おい! 神楽が神様だってのか?なぁ?なんでこんな事したんだよ!!」
「うーーん、答える必要ないよね? どうせもう終わるんだから」
「人の命をなんだと思ってるんだ! お前からすればどうでも良い事だろうが大切な物なんだよ!」
「めんどくさいなぁ。またね。次の世界で会う時はハッピーエンドにしてくれよ? 楽しみにしてるよ」
「どう言うことだよ? 人間をなんだと思ってるんだ!止めろ−–−–−」
パチンッーーー
ピピピピッピピピピッカチャーーーー
カーテンの隙間から太陽の光が差し込んでいる。
眩しい光だが嫌悪感はない。
その光が暖かく心地が良い。
「もう少しだけ、寝よう」
「真斗にーちゃん起きろーー!!」
「ゲフッ」
慌てて目を開けると妹が腹の上に乗っかっていた。
「分かった、起きるからどいてくれ」
その時だった。
キーーーーン
「痛ッ………な、なんだ?」
脳内にある言葉が響いてきた。
『三日後世界は終わります。』と。
ーーENDーー
三日後終わる世界 ちょこっと @TSUKI_754
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます