第43話 おおかみ4
『未完の物語は暴走して、人を飲み込む。飲み込まれた人は二度と戻って来れない』
一種の都市伝説だった。
ネットがまだ普及したての頃に、掲示板にのっては消えていった都市伝説の一つ。
書き込まれた時、誰もが嘘として楽しんだ。
本当に物語に飲み込まれた人が二度と戻って来れないとしたら、この文章を書けないはずだからだ。
私だけが信じていた。
物語の暴走の描写が、あの日のそのままだったからだ。
作家の噂話から、物語終了課のことも知った。
未完の物語が暴走するなら、終了させればいい。そのためにわざわざ国が手を出している。終了させれば、飲み込まれた人が戻ってくる。
死んでいなければ。
あの時のことを思い出す。
火に包まれていった文字を動画でコマ送るように、詳細に。
無いようにと願っても、覚えていた。
『おおかみはママを食べる』
私は母を殺した。
母はオオカミに食べられてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます