『近寄るな、わが、卑しき思い出』

やましん(テンパー)

『近寄るな、わが、卑しき思い出』


 近寄るな、わが、卑しき思い出たちよ。


 君たちが近寄ると、ぼくの平安は破れる


 ぼくは、動けなくなる。


 お風呂のなかでも、トイレのなかでも



 ぼくは、あたまを、壁にぶつけるように、もたれかけるのだ。



 そうして、そこから、帰ってこられない。


 ぼくの、身体も意識も、こわばり、動けなくなるのだ。


 

 そのまま、消えた方が、いかに、ましか。


 

 もっとも、もう、消えているのだ



 すでに、社会の中では、


 

 ぼくは、消去され、どこにも、属してはいないのだ。


 

 梅雨の終わりのために、大きな虹が出た



 その、ふもとも、行く先も、ここにはない


 それは、僕からは、失われた地位や立場。


 いや、そんなもん、いらないさ


 ごみにさえ、ならない。


 

 きみたちは、もう、現れるべきではない



 ぼくのなかでは、生きてさえ、


 いないのだから


 さようなら、


 あわれな、過去の影よ。



・・・・・・・・・・・・・・・・ 🌷


 

 



 

 

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