第4話出会いは時として人を成長させる3

「まあいい、中に入ろうサーゼ君」

「入っていいの?て、なんで名前?」 


そういえばさっきも僕の名前呼んでたよな。


「それは、あれだよあれ」

「なんだよ」

「いいから中入ろうって」


カラスのくちばしにつつかれながら扉をあけ中に入ればまたもや色が違うだけでエールの城内そのものだった。


「なんで」

「まぁアモンがまねしたからね」

「え?」


なんで父が、それ以上教えてくれる気はないみたいでカラスはどんどん先に進んでいく。

まったく同じ城なのに人ひとりいない城内はすごく寂しい印象をあたえてくる。

黒なんて物々しい城内より寂しく感じる城はなんというか、あの城で放置されていた僕のほうがまだ周りに人という存在を感じられるだけ幸せだったんじゃないかとさえ思ってしまうほどだった。


「ここあけて」


どんどん進んでいってたカラスは一つの扉の前で止まった。

ここは父の部屋だった場所。嫌な思いでしかないが造りが一緒なだけでまったく別物なのだ。だから大丈夫。少しだけ湿った手に気づかないふりをして扉をゆっくりと開いた。


「誰だ」


広い部屋。なにもない。ただそこにあるのは中央にある大きなベットだけ。天蓋のおろされたベットの中から冷たくも凄くきれいな声がきこえてきた

綺麗な声。だけど、周りを全て拒絶するような剣吞な声。これはやばい。僕の本能が危機感を一気にあおる。

あの父でさえ声だけでここまでの緊張感を生みはしないというのに。

そんな雰囲気のなか白いカラスだけがのんびりと、ゆったりとベットの中の人物に声をかけていた


「ルファー帰ったよ~」


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