第3話出会いは時として人を成長させる2
頭を振りかぶって歩き出そうとした僕の服のすそをくちばしで引っ張るカラスに頭が痛くなりそうだった。
「いや、おかしいよね?ただのカラスじゃないって、そりゃ色が白だけど、鳥が喋るわけないよね」
確かに魔物はいるけどそれは知恵亡き者だし、喋らないし、なんなのこのカラス
「まあまあ、詳しいことは後にして、ついてきて」
「いや、いくわけないよね?」
「来て」
「いかない」
「来い」
「なんで」
なんなんだこのカラスは大体怪しすぎる。さすがの僕でもこんな怪しいものについていこうなんて思わないから。胡散臭げに見つめる僕にしびれを切らしたのかカラスが突然何かを唱えだした。
「なにを、」
あたりが白く光る。これは、転移魔法?カラスが?魔法?
「はい、ついたー」
「どこここ?」
まるで王城のような建物。エールの城とどこか似ているが、エールの城は黒一色。それに比べてここは、赤い。真っ赤だ。ただ造りがエールのものとそっくり。
「ここは、ルファのお城〜」
「誰?」
ルファとは誰かミールの国の王は確かミルといった筈だ。マーリアス・ミル。ミール国国王。僕の父ランガージュ・アモンと長年争い続けている王。
だからルファとはだれか聞いたこともない。二つの国以外に城があるなんてことも聞いたことがない。
「ルファはルファに決まってんじゃん」
「知らない」
「ガーン」
「いや、口に出さなくても」
目に見えて落ちこむカラスだが聞いたことないのだから仕方がない。
「まあ、ルファは人見知りだからね、仕方がないよね。うん」
なんだか一人ぶつぶつつぶやいているカラスを横目に城を見上げる。当たり前だが国旗などはついていない。
それもそうか。国なわけないよな。この城の周りにはなにもない。ただ更地にドンとそびえたっているだけだった。
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