第2話出会いは時として人を成長させる
「お前はもう用済みだ。」
そう告げられてあっという間に捨てられた。
東と西の間、ダーク地区両国の守護はなく高位の魔物が生息している。遠くから気味の悪い遠吠えが聞こえてくる。隠れる場所もないただの更地だ。
10歳の力なき僕がここで生き残るなんてことはまず不可能だろう。万が一魔物に見つからなくとも食べるものもない飢え死に確定だ。
ここで動かず体力温存をはかるか、又は万が一の可能性にかけてダークの森の中に進み生きる術を見つけるべきか。
どちらにしろ危険なことには変わりない。
そもそも僕は生きたいのだろうか。生まれた時から僕は孤独だった。エール国王室に生まれた僕はあの実力主義の国の頂点にいる国王の子供だった。そのため生まれ持った力は強大で幼子の時より城下のものよりも強かったがさすがというべきか王城の中ではまさに赤子同然。故に誰も僕に構うことなどせず、唯一の王子という立場にありながらも僕の周りには誰もいなかった。
「まさか捨てられるとは」
ミールの国に行こうと一瞬思ったが無理だろう。エール国特有の黒髪はミールで受け入れられるわけがない。それにエールでもミールでも見ない僕の瞳の色。紫。
この瞳のせいで何度理不尽なめにあったかわからない。
忌み子。悪魔崇拝のくせしといて忌み嫌う等バカげている。そう何度も思ったがそれこそ異端児の僕がなんと言おうと意味をなさなかった。
さてと、どううするか、どうせ死ぬのなら少し冒険でもしてみるか。
汚染された空気が重くて体が重いが、最後に自分に正直になって動いてみるのもいいかもしれない。
父上みたいに魔法に才があれば僕も転移でもしてどこか隠れて生きれたかもしれないが残念ながら僕にその才はないのだから仕方ない
よし!と自分に気合を入れ立ち上がる。
「え、ちょっと、どこに行く?」
ふいに声が聞こえてきて驚いた。だって周りには誰もいない
「上だよ上」
「は?」
頭上には白いカラスが飛んでいる
「いや、カラスは喋らないだろう」
まさかこの汚染された空気が幻聴を聞かせる程人体に影響を与えるとは思ってもいなかった。
「いや、ただのカラスじゃないから。て、ちょっと待って、話を聞こうかサーゼ君」
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