思い出

消える氷

君との出会い


すべてを焦がし溶かしてしまいそうな太陽が燦々と降り注ぐ

真夏の月曜日。

また一週間が始まる。

小学5年生の僕は、ランドセルを背負って家を出た。蝉がけたたましく鳴いて、夏風が僕を追い越して行く。

相変わらず、変わらない景色だけれど僕はそれが好きだったりする。


学校に着くと、教室はいつも通り。当たり前が広がっている。あれ、僕の隣の席が空いている…。


予鈴が鳴って、教室に先生が入ってきた。

と同時に、見知らぬ女の子も後ろに連れている。

誰だろう…彼女は俯いている。


どうやら、僕の学校に転校生がやってきたようだ。

先生に促されて、彼女は顔を上げた。

教室は一瞬静まり、その後皆、彼女に視線が釘付けになっていた。

転校生は、見るものを圧倒させる美しさを兼ね備えていたのだ。髪は金色にきらめいて、程よく高い鼻、桜色の薄い唇。そして何より、惹き付けられるものは、黒色に金色と水浅葱色を散りばめたような妖めいた目。

彼女は、黒板に自ら名前を書いた。

狐山 希音

「転校してきたこやまきねです。よろしくお願いします。」

彼女は凛とした声で自己紹介し、丁寧にお辞儀した。

先生は、僕の隣に座るように言った。

"なるほど、隣の席が空いていたのは彼女が座るためか。"と一人納得していた。


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