ex03-04「作品紹介その3」


 みなさんこんばんは。GWは「ゴリゴリワーク」な薮坂です。昨日今日は休みの方も多かったのか、電車がすげー空いてました。天気も良くて、お休みの方は楽しめたんじゃあないでしょうか。休める時に休む、これは現代社会で戦う基本ですよね!


 さて、5月になってしまいましたねー、2023年ももう1/3が終わってしまったというこの事実。やべーですよマジで。今年始まって120日経ってんのに、まともなの今回の「春さよ」しか書いてねぇよ!

 そんな訳で「春さよ」ですが、企画も無事ゴールを迎えました! 最終的に33作品が参加されたようで、私も全て読むことが出来ました。

 傑作、力作、怪作ぞろいで今回も楽しめました! 企画主様である、ゆあんさんには感謝してもしきれません!


 さてそんな訳で、例の一言紹介企画の続きを早速やっていきましょう!




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◆えーきちさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330656276495955



 しっとりとした、それでいてどこか怖さを感じるナツの一人称。その筆致から感じるイメージは「ゆらめく闇」ってとこでしょうか。

 まずキャッチコピーが「私はハルを殺した」なんですよ。これが他の参加作とは一線を画していて、それでいて設定しているイメージカラーが桜色なんですよね。これがまず目を引くんです! お話の内容は読んでいただくとして、このゆらめくような、抗いようのない「ぬめっ」とした筆致が物語に絶妙にマッチして、非常に言語化が難しいんですがその文字に惹かれる。この筆致の選択が秀抜で、さすがだなぁと感じました。こういうジャンルのお手本のような作品です!




◆まんごーぷりん(旧:まご)さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330650808411932



 するりと心に入ってくるような筆致のナツの一人称。引っかかるところがなく、フラットですーっと入ってくるそのイメージは、物語のキーアイテムであるカメラからか「現像液」みたいに感じました。

 この物語はね、凄いんですよ。本当に現像液に浸けた写真みたいに、次第にその像が浮き上がってくるんです。いろんな「春さよ」を読みましたが、この結末は予想できなかったです。でも決して裏切られたとかそんなんじゃあなくて、「うわー、そう来る⁉︎」みたいな気持ちになりました。これも上手く言語化できませんが、作られた物語の為の結末って感じがしなくて、リアリティがあるんですよね。すごく好きです、この作品!




◆奈月沙耶さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330656181377540



 歴史を感じる味わい深い筆致の三人称小説。読んだ瞬間「あぁ、こりゃすげぇわ……」と格の違いを見せつけられましたよ、ええ。なんかもうカッコいいんですよ! 一朝一夕で身につけられる筆致とか文体とかじゃないと思うんですが、奈月さんいわく「ふんわり」らしいです。マジすげぇ(笑

 できるだけネタバレなしの方向なんですけどこのお話は平安時代をイメージしたお話なので、私の中のイメージもなんか「歴史」というか、カタチじゃあないイメージなんですよね。

 まぁとにかく百聞は一見にしかずです。文章のチカラってすげぇなぁと思えること請け合いです!




◆水木レナさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330656371141862



 捉えどころのない不思議な筆致の、ハルとナツのそれぞれの一人称小説。それどころか作者(?)のメタな視点も入る企画参加作品では唯一の視点です。イメージはおもちゃ箱かな。すごく自由なイメージを感じます。

 水木さんの作品は他のも読ませてもらっているんですが、水木さんの書かれる物語ってとても独特なんですよ。これはいわゆるエンタメ小説書きには決して真似できない領域で、言い方を選ばないでいうと普通じゃあない(すみません)んですよね。けれどとても味があってついつい先を読んでしまう、そんな作品です!

 



◆蜜柑桜さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330656215872526



 読者に語りかける口上が特徴の、とある人物の一人称。「とある人物」を言うとネタバレになってしまうので伏せますが、このような筆致は参加作唯一です。私は蜜柑桜さんの作品を他にも読ませて頂いているのですが、蜜柑桜さんのいつもの筆致とは一線を画する書き方で、そしてそれがこの物語と見事マッチしててまるで舞台を観ているように感じます。すごいなぁ。

 踊って弾むようなこの筆致のイメージはやっぱり舞台! しかもなんというか、ピンスポットのような輝きを感じますよね。いつもとは違う蜜柑桜さんの筆致、すごかった!


 


◆肥前ロンズさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330656420033764



 ハルでもナツでもない第3のキャラクタ「シキ」の一人称小説。その筆致はやや硬く、シキのキャラクタを上手く表していて、シキ自身が抱える悩みやそれを克服した様などが極めて自然に語られていると思います。

 ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、まさに「友愛」がテーマなのかなと思います。

 一言に「人を愛する」と言っても人の数だけその愛し方があって、そしてそのどれもが正解というか正しいんだなぁと思えます。自分に素直に生きることは素晴らしい。それを改めて教えてくれる作品でした。




◆かしこまりこさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655672262599



 柔らかで優しい筆致の、ナツの一人称小説。この物語はですねー、ほんと優しいんですよ。登場人物みんな優しい。ちょっとその優しさを私にも分けてほしいくらいの優しさですね。

 イメージはやっぱり「陽の光」です。包み込むような温かさを持つ太陽なんですけど、決して真夏の太陽のような鋭さはなく、まさに春先の柔らかな日差しのような印象。読み終わった読後感がすごく良くて、あぁいいもの読んだなぁ! と素直に思えるお話でした。この優しさはどこから来るのかと考えると、キャラが自分を肯定してると思うのです。それがこの優しさを生んでるんだろうなぁ。ほんとに優しい物語です!






◆おまけ 薮坂



https://kakuyomu.jp/works/16817330655490888345



 ナツの一人称小説。特徴は長いこと(たぶん第七期最長)。筆致の硬軟については正直自分ではわからんのですけど、結構硬いかなと思っていますし、自分のいつもの筆致もやや硬めかなと思っています。

 久しぶりに書いた真面目なお話で、失敗したのは本当に長くなってしまったのと(一万字以内を目指してた)、説明ゼリフが多かったなーと思いますね。この失敗は次に活かそうと思います。


 私は物語を書く時はシナリオ先行で、特に最後のシーンをどうするか、その物語にするためにどんなキャラクタが必要かを考えてキャラを配置するスタイルです。だからキャラが台本読んで演じてる感じなんですよねー。

 以前、カクヨムとは別のところで私の書くキャラは弱い、特に主人公が弱いと言ってもらえたことがあるんですが、まさに金言その通り。「劇団ヤブサカ」に所属する無名役者たちがその時の台本を演じてるイメージです。特に主人公枠はいつも同じヤツなので、新しいキャラの濃い劇団員が欲しいなぁと思う今日この頃でありますね。

 あ! ゆうすけさんとかえーきちさんとかモデルにすればいいんだ!(笑

 

 

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 さて。そんな訳でいかがだったでしょうか、参加作全作一言紹介企画。どの作品にもその作品だけのカラーとかイメージとかテーマがあって、プロットが同じとは思えないですよね。筆致企画の第一期から第七期まで、色んな作品を読んできましたが、同じ読み味の作品ってひとつもないんですよ。本当にひとつも。繰り返しますがプロットが同じなのにですよ?

 これって本当に凄いことで、つまるところ物語の可能性って無限なんだよなぁってことだと思うんですよね。


その大事なことを、身をもって体験できる筆致企画はやっぱり素晴らしいなぁと思うのです。

 いつか自分でも、ゆあんさんのような自主企画を開催してみたいなと思うのですが、人が集まってくれるかも微妙ですし、ネットコミュ障(リアルはガチ強)なので自信ないんですよねー。

 ……やっぱり参加する側が一番だな!(笑



 と言うわけで、「今夜も眠らない特別編」はここまで。毎度お読みいただきありがとうございます。

 もし私が自主企画をする気になったら、その時は是非参加のほどよろしくお願いします。笑


 ではまた。深夜にお会いしましょう。






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