ex03-03「作品紹介その2」


◆ポテろんぐさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655472492403



 カッチリと仕立てた品のいいスーツのようなイメージの、ハルの一人称の物語。この筆致は、私のイメージですけど回を追うごとによりカッチリしてきて、まるでハルの成長とともに「大人」になっていくような印象を受けました。

 物語はファンタジーで、人間と魔物が争い合う世界を描いたもの。しかし当然、人間の子供たちと魔物の子供たちはそんなことを深くは知らないわけで……と、深いドラマを味わえる作品です。爽やかなラストは一見の価値ありです!




◆ふづき詩織さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655433299925



 三人称、それも桜に寄った視点で描かれた珍しい作品です。これはすごい。桜からみたハルとナツの物語で、硬めの筆致です。イメージは木の根っこで、なにか大きなイメージをも感じる作品ですね。

 この桜視点というのが珍しくて、ストーリーとしても秀抜! さらには古風なイメージをも感じて、ほんとセンスの塊だなと思いました。私には書けない領域ですね。不思議な作品、ちょっと言語化しにくいですが「すごい」です!




◆ふづき詩織さん(2作目)


https://kakuyomu.jp/works/16817330655494869780



 ふづき詩織さんの2作目は「春にさよならPP」!

 いやぁ、すごいですよこれは。前作は「春にさよならSS」というタイトルだったんですが、今回はPPです。なぜPPなのかは読んで頂くとして、筆致はSSよりも硬く、三人称で、そのイメージはもう「嘴」ですね。笑

 いやぁ、幅広い筆致というか作風というか、勉強になるなぁと。是非前作とセットでどうぞ!




◆野々ちえさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655322370765



 柔らかで自然体の筆致、優しさあふれるナツの一人称のお話です。イメージは初夏に映える若葉。柔らかい緑色のイメージですね。

 野々ちえさんの筆致はけっこう特徴的で、漢字の開き方に抜群のセンスを感じます。「ととのえる」とか「じつをいえば」とか、漢字でも表せる言葉をひらがなで表記されているんですね。その筆致が柔らかさを演出するのかなぁ、なんて思います。実に自然体でお手本のような物語です!




◆邑楽 じゅんさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655641000253



 格式の高さを感じるナツに寄った三人称視点。表現するのが難しいのですが、凛とした花のような色をイメージする作品です。

 ところどころに光る文章が散りばめられていて、「季節からの一葉の便りのよう」なんて表現は凄いなと息を呑みました。センスだよなぁ。私なら想像もできませんね。こういう物語の内面というか、実際の動きを描写するのではなく物の心情さえも描写する表現方法は素晴らしいと感じました。やはりセンスか……!




◆霞(@tera1012)さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655742053312



 柔らかさと深さを感じるナツの一人称の物語。イメージは水。全てを包み込むような大きさ、懐の深さを感じる筆致です。ノスタルジックな雰囲気がまた素敵何ですよ本当に。それに桜の木で測る身長を、他の方とは少し違う観点で描かれた珍しい作品です。

 最後の一節がまるで絵画みたいに美しくて、余韻がすごいんですよ。こういう「キラーワード」的な一説って、筆致が重要で、力を入れた一文が浮いて見えないんですよね。とても参考になる筆致です!




◆鈴ノ木 鈴ノ子さん(2作目)


https://kakuyomu.jp/works/16817330655873029167



 鈴ノ木 鈴ノ子さんの2作目は、1作目とリンクする作品です。筆致は1作目とよく似ているんですが、1作目よりはやや柔らかで詩的なものを感じます。イメージは「部屋の空気」。部屋の空気ってそれぞれの家に特徴があって、雰囲気というかなんというか、包まれるような筆致を感じました。前述の通り詩的な雰囲気を感じるからでしょうか? そういう意味では1作目とは幅があって実力の高さを感じます。作風が広いって羨ましいなぁ。




◆水涸 木犀さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655874022238



 温かな温度を感じる優しい筆致の、ナツの一人称。男性アイドルグループをテーマにした青春の作品です。イメージは歌。響く音、と言い換えてもいいかも知れません。

 ハルとナツのキャラクタが秀抜で、とくにハルが可愛い。男性キャラクタに「可愛い」ってあんまり私は使わない表現なのですが、間違いなく「可愛い」。キャラが立っているゆえの筆致なのだと思います。

 これはねー、切ないんですよ。だがそれがいい。ハルとナツの対比やそれこそ筆致がそう魅せるんでしょうね。素敵な一作です!




◆もりくぼの小隊さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655420848375



 硬派でハードボイルドなテイストを感じさせるナツに寄った三人称SF。「引っかき傷」をイメージさせるダークな筆致は唯一無二のものです。

 好き嫌いはあると思うんですけど、ルビとか独特のセンスでカッコいいんですよね。というか、このプロットでよくぞここまで! とびっくりしました。筆致企画には毎回驚くような作品が参加されますが、この作品も間違いなくその一作です。

 ハードボイルドなバトルものなのに、どこか哀愁漂うラストシーンはカッコいいの一言。アツいバトルもの好きな方は是非!




◆竹神チエさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655402641730



 カリッとした独特の雰囲気を醸し出す筆致のナツの一人称。作中にも出てくるキーアイテム「チョーク」みたいな硬いけど柔らかい、力を入れると折れちゃうようなイメージを感じる本当に独特な作品です。

 筆致ってのはこういうものを言うんじゃあないか、と思える一作。説明は非常に難しいんですが、道徳の教科書って言われてもおかしくないくらい物語に吸引力があり、めちゃくちゃ素敵です。あぁ、こういう「深さ」って自分の作品にはないよなって素直に思ってしまう、本当に深い物語。説明できないのでとにかく読んでみて!




◆一視信乃さん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655336041508



 カラリと晴れた爽やかな夏空を思わせる、ハルに寄った三人称。イメージはまさに「夏空」! 今回は「春にさよなら」というタイトルですが、この作品はその春に続く夏を思わせる作品です。

 もうね、マジ青春。ほんとアオハル。どこまでも爽やか。「こういうのがいいんだよ!」が全て揃ってる、爽やか短編とはこういうのだぜ、ってのを見せつけられた作品ですね。私がこういう作品大好きってのもあるんですが、この作品は読んでて本当に気持ちがいいんです。夏好き青春好きな方は必見ですぞ!




◆桜庭ミオさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655383872020



 読みやすく柔らかな印象の筆致で描かれるナツの一人称。イメージは田舎の山の緑。とても柔らかいイメージです。これね、BL作品なんですよ。私はBLってほとんど読まないんですけど(今までその機会がなかった)、この作品は何というか、まさに「青春」って感じで素敵でした。

 ところどころに描かれる風景の描写が素敵で、あぁこういう田舎ってステキだよなぁと自分の田舎を思い出しました。キャラの気持ちをストレートに表現されており、とても読みやすいのも特徴です。恋って色んな恋があっていいよね、って思える素敵な作品でした!




◆ @chauchauさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330656057778953



 物凄く独特な筆致の三人称。この作品、凄いです。言語化不可能なこの筆致はイメージすることすら難しく、あえていうなら鋼鉄みたいなイメージなんですね。硬いのは間違いないんですが、リーダビリティも高くて硬いだけじゃないのが凄い。しかもこのテイスト、もはやホラーみたいな空気をも感じるのですが、ラストシーンがまた凄い。3000文字弱の作品なのでとにかく読むのがオススメです! 読めばわかるさ! って言葉はこういう作品のためにあるのかも。凄い作品だ!




◆かこさん


https://kakuyomu.jp/works/16817330655321229854



 この作品も独特な色を感じる稀有な作品。ナツに寄った三人称ですが、ファンタジーテイストが入っているやや柔らかな筆致で描かれる作品です。イメージは絵の具とパレット。色がねー、素敵なんですよ。

 戦争というか、何かと戦っている雰囲気が出ていて、柔らかさだけでないのも魅力ですね。

 この作品、ちょっと難解なんですね。でもその難解さがこの素敵な「色」と相まって、説明が難しいんですが独特で素敵な雰囲気を出せているのだと思います。筆致って面白いなぁ!




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 そんな訳で、現時点(令和5年4月24日)時点で参加されてる25作品について語ってみました。まさに今しがた、えーきちさんが作品をアップされたみたいなので、また次回ご紹介したいと思います!


 まだ一週間ほど企画は続きますので、コレをみて参加してみようかなと思っている方がいたら是非! 素敵な企画なのでオススメですよー。


 では、今日はこの辺りで。薮坂でした。







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