第13話 嫉妬?

「心配すんな、この聖なる剣は人は斬れないんだ。人は、な」


ビュン、と光輝く剣で美夜子を肩口から斜めに斬り裂く。

これが真剣で、相手が人間なら死んだろう。しかし彼女は低級な悪霊に憑かれている。

ギャアアア、と悲鳴をあげて美夜子は倒れ伏した。しかし、斬口はみるみるうちに塞がっていく。


「悪霊がそそのかした、ということ?」


優仁の問いに俺は頷き。


「じゃねえかな。彼女は京都を心配する真面目な女性だったしな。恐らく彼女が言っていた、京都から出ていった人間たちもこの悪霊に憑かれてたんじゃ?」


「そうだね、美夜子さんに僕らを襲う理由がないし。美夜子さん…大丈夫?」


優仁が彼女を抱き起こそうとしたその時。

彼は思い切り胸倉を掴まれた。


美夜子に。


「くっ…悔しい悔しいっ!男同士でいちゃつきやがって!私なんか彼氏いないのに!お前たちなんか、悪霊に殺されてしまえー!」


がくがくと揺さぶられる優仁。

なんと、俺達が襲われたのは嫉妬深い彼女の意思であった…

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京都売ります 九条静寂の冒険 @hotarappy

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