こんにちは。
静かな筆致がいいですね。
勝手な想像ですが、姉の死から10年を経て、目を背けていたものに初めて向き合い、その間わだかまっていたものから訣別して、新しい人生へ漕ぎ出す場面のように読みました。
その儀式に立ち会った教え子が、物語にやわらかい光と温度を届けてくれていて、いいなと思いました。
作者からの返信
久里さん
お読みいただきありがとうございました!
静かな筆致とお褒めいただき、嬉しいです。
今でも、少し軽すぎて煩いかな?と思うところがあるので…励まされる思いです。
思い切って出した教え子の存在も、無駄ではなかったなとホッとしております。
おそらく、主人公は近い将来、縁を切られていた実家にも顔を出すでしょう。
姉の墓参りをすることで、彼の中で止まっていた時計が動き出すのだろうと思います。
初めまして、アクリル板と申します
角川武蔵野文学賞に応募されている作品を見て回っておりまして、目に留まったためにお邪魔しました。
教え子の存在や彼岸花、本筋とは無縁に思える要素が良いアクセントになっていますね。彼岸花から良いレビュータイトルが浮かんだため、そのままレビューもさせて頂きました。
また、時間があるときに他の作品も拝読させて頂こうかと思います。
作者からの返信
アクリル板さん
はじめまして。お読みいただきありがとうございました。
武蔵野文学賞から来てくださったとのこと、目にとめていただけて嬉しいです。
教え子のタカハシと彼岸花は本作のキーでした。
アウトローの主人公に、この二つの要素を思いついた瞬間、書ける、と確信しました。
素敵なレビューまでいただき、感無量です。
重ねて御礼を申し上げます。
本当にありがとうございました!
天上杏様
初めまして。百一里優と申します。私も「角川武蔵野文学賞」に応募しており、勉強を兼ねて、拝読させていただきました。
塾の教え子だったタカハシ君が物語に活気を与え、主人公の心を代弁し、潤いをもたらしている感じが好きです。
「まあ言ってないし。しかも死んだとか重いっしょ」
「いつ、亡くなられたんですか?」
——とお姉さんの死の話になると、突然襟を正した言葉遣いになるタカハシ君は主人公のことを本当に好きなんでしょうね。だからこそたぶん一緒に墓参りをしたかったのでしょうね。
背景を多くは語らずにそれでいて読者にわからせる技術は、私のような冗長になりがちな者にはとても勉強になりました。
素敵な作品をありがとうございました。
追伸
私の応募作品も姉と弟の関係がひとつのテーマですが、貴作品『彼岸花と雨』とは逆に、姉に嫌われていた弟の物語です。
作者からの返信
百一里優さん
はじめまして。お読みいただき、ありがとうございました。
タカハシが深刻な話題になるときちんとした言葉遣いに変わると気付いていただけて嬉しいです!
地味〜にタカハシの人柄が表れている箇所です。
そういうところを主人公は信頼している(普通なら赤の他人を肉親の墓参りに同行させません)し、タカハシもまた主人公のことを好きなのだと思います。
今回4000字となかなかシビアな字数制限で、書くべきことの取捨選択が非常に難しかったです。
短編コンテストは勉強になりますね。
百一さんの作品も是非読んでみたいです。
同じ姉弟ものとのこと、気になります!
編集済
お邪魔いたします。
情景の描写も心理描写もとても生き生きと瑞々しく、すっと心に入ってくる心地よさを最後まで堪能させていただきました。
お姉さんの自殺の原因、断片的に垣間見える主人公の生き方、タカハシという教え子の人間的な温かさや軽やかさ。読み手に様々なことを想像させ、考えさせてくれます。
重みと軽やかさを心地よいバランスで備えた、魅力に満ちた短編を楽しませていただきました(*^^*)
作者からの返信
aoiaoiさん
お読みいただき、ありがとうございました!
すっと心に入ってくるとのお言葉を聞き、ホッとしました。
締め切りまであまり時間が無い中勢いで書き上げた作品なので、読み手にどこまで伝わるか不安でした。
主人公の現状、姉の自殺の原因など、根幹の部分を敢えて詳しく書かないことで想像していただけたら、と思っていました。
自分としては、筆致が少し軽すぎたかな?と後悔もあるのですが、重みと軽やかさのバランスを備えているとお褒めいただき、救われる思いです。
素敵な感想をありがとうございました。
主人公の俺とタカハシが教師と生徒の関係を終えた後も会っている、というのが年齢差はあるにせよ、兄弟っぽい印象を持ちつつ読みました。
主人公と姉の関係性の反復なのかな?
であるなら、俺はタカハシを通して、上の兄弟であることを疑似体験していたのかな?などと考えつつ読みました。
タイトルにもなっている彼岸花ですが、花言葉を調べると「思うのはあなた一人」という意味が含まれていると知って、それをお供えするのは意味があるなぁと思いつつ、
彼岸花をお供えをしたのは「センセーを守ってくださいって頼んでたんすよ。」と言ってくれるタカハシもだったことが、
主人公の傷を癒す一つの方法だったのかな?と思ったり致しました。
姉の命日に生まれてくる主人公の子供の名前は、お姉さんの名前も一部が使われたりするのかなぁと思って、
あぁ彼岸花の別名(あるいは関連した名前)とかがお姉さんの名前だから、お供えしたのか?などという考えにまで飛んでいってしまいました。
やたら長いコメント申し訳ないです。
いろいろ考えられる優れた掌編だと思いました。面白かったです。
作者からの返信
郷倉さん
お読みいただきありがとうございます。
うーむ、思わず唸ってしまいました。流石郷倉さん、鋭い。
主人公は、22歳であるタカハシにかつての姉を、そして、昔の自分を二重に投影していると思われます。
仰る通りの、上のきょうだい的立場の疑似体験が、セラピーとして機能したのでしょう。
おそらく、彼を現世に繋ぎ止めるには、妻と子供だけでは足りなくて、タカハシという、姉と自分を結像させる“レンズ”が必要だったのだと思います。
なんと…彼岸花の花言葉を、私は今知りました…(恥)
そんなに素敵な意味があるのですね!
物語にいい感じに噛んで、結果オーライでした。
(ここで彼岸花を出した意味は、単にSEEDAの「花と雨」という楽曲へのオマージュなのです…歌詞に彼岸花が出てくるので、絶対に使いたいと思っていました)
生まれてくる子供の名前にはおそらく「花」に関連するものが、あるいはお姉さんから拝借した一部が使われるんじゃないかな、と思っています。
郷倉さんがこうして色々考えて下さったのなら、物語の中にそれなりに良い空間を設けることができたのかもしれません。
非常に励まされました。
素敵な考察をありがとうございました!
タカハシとの何気ない会話が、姉への慕情や贖罪の気持ちに巧みに繋がっていて、時折胸を締め付けられるような気持ちになります。
一旦不必要なエレメントを削ぎ落とし、再びワザと冗長な会話表現や情景描写を丹念に重ねるような、そんな複雑だけど凝った作りの表現は天上さんならではだと改めて感心させられます。
武蔵野に絡めたこの短編は珠玉の作品と言えましょう。
作者からの返信
遠那さん
お読みいただきありがとうございます。
かなりフィーリングと行き当たりばったりで書いたものなので、そのような印象を抱いていただけて嬉しいです。
情報、感情、情景を4000字の中に織り込んでいくのは至難の技で、いい勉強になりました。
珠玉とのお言葉、勿体ないほどの感想をありがとうございました。
なんだか。。身につまされるというか。。私にそのような親族のつらい体験はないけど。。死者と生者をつなぐ何かが一瞬垣間見えたような気がしました。