男の目線からするとホラーなんだけれど、老婆からすると、引き上げてくれてありがとう。という感じでしょうか。
水の上と下。生者と死者。現実と幻想。覚醒と夢。
それらが入り混じった不思議な余韻がありますね。
モーパッサン先生は川の魅了をたっぷりと語ってくれていますが、夜の川になんて絶対に行きたくないっ!
幽霊が出ても、逃げ場がないですやん。幽霊がボートに乗ってきたら心臓が止まっちゃう。
作者からの返信
遊井さん、コメントありがとうございます。
やっぱり老婆は見つけて欲しかったんでしょうかね。自殺なのか他殺なのかもはっきりしていませんが、思いだけはこの川にずっと残っていたように感じられますね。
仰っている対の要素がとても面白いなと思います。確かにそれらが作品をずっと覆っているようです。
森の中の川なんて、夜行ったら怖すぎますよね。こういうのはボート野郎の肝試しにお任せしたいです。でもボートを漕いでる幽霊を想像したら面白くなってしまった……(笑)
これも実際に読んでみたいうちの一つだなあ。
でもね、夜の水辺は怖い。海でも川でも。ローレライなんか、ほんとにあったことかも、って思ってしまう。特にこんな風に遺体が引っかかるなんて。
PS :私は、マッチョではなく、細マッチョを希望します。
作者からの返信
月森さん、コメントありがとうございます!
最初は気持ちのいい月夜......のはずが、少しずつ脅かされていく心理が面白いですね。夜の水辺は良さそうに思えるけど、実際は自然の脅威をもろに受けそうですよね。
しかもこのような落ちまであれば......😱
ベートーヴェンの『月光』が聞こえてきそうな、幻想的な話だと思ったらホラー要素もあってさすがモーパッサン先生ですね。
原作は五感を刺激される美しい文体なのでしょう。
ラストはもはや第六感を働かせちゃう怖さです。まさに墓場。
柊さんの解説のおかげで、こちらの作品も興味を持てました。
ありがとうございます。
作者からの返信
ハナスさん、コメントありがとうございます!
月明かりしかない真夜中に起こる出来事なので、色んな感覚が研ぎ澄まされてどんどん敏感になっていくんでしょうね。特に聴こえるものに恐怖を覚えるのは、暗闇ではやっぱり聴覚が鋭くなるのかな、と思います。
ラストはホラーですが自然への畏敬も感じますね。
こちらこそ、お読みくださってご感想も、ありがとうございます!
うーん、モーパッサン先生の川に対する思いがあふれていますね・・・^^ 川って海や山よりも小さく地味なイメージだったのですが、なかなか不穏ですねぇ・・・笑
そしてオチはおどろおどろしく・・・なんだか川に対する屈折した愛着のようなものを感じます。まさかの墓場のたとえがちゃんとつながっているんですね。
作者からの返信
神原さん、コメントありがとうございます!
川ってちょっと見過ごしちゃうんですよね。海の方が雄大で激しいので。でもこういうドラマは川が舞台だからこその不気味さがありますよね。周りに茂っている葦とかもすごく効果的で。
屈折した愛着!それいいですね。川が大好きだけど同じくらい畏怖の念を持っている、みたいな。墓場のくだりがラストに効いてくるのもいいですよね。
前に短編を読んだ時には字面を追っただけでしたが、今回は柊さんの説明で、モノクロの短編映画を見るようでした。
黒い川、水面に輝く月光、と思ったら、錨が上がらない。白い霧がだんだんと深くなり、恐怖心に襲われる。ところが、急な妖精の国のような景色。寝ておきたら、そこに現実の凍りつく朝の川で、釣り人が通り、引きを揚げたら・・・。
私はこれまでモーパッサンのことはあまり知らなかったのですが、今、興味を抱き始めています。
彼はどんなふうにして、話を作りあげていったのでしょうかね。たとえば、この短編なら、
「まるで墓場を通るときのような身震いが襲うのだ。そうだ、川は墓のない墓地なのである」とここの文を思いつき、これはいいと気にいって、そこから短編を書こうとしたのでしょうか。最後の老婆のところは、最初からそういうオチにしようと考えていたのでしょうか。(ところで、あの老婆は他殺ですか。自殺の線もありですか)
「脂肪の塊」なんかは、最後の娼婦が泣いているところを最初に考えたような気がするのですが。なんて、そんなことを考えました。
モーパッサン、ものすごく楽しませていただきました。
いつもありがとうございます。
作者からの返信
九月さん、コメントありがとうございます!
夜の川、確かにモノクロが似合いそうですね。朝になって色がついたところでホラーのオチ。短編映画っぽいです。
モーパッサンがどういう風に作り上げるのか、考えたことありませんでした。短編がほとんどですが、それだけやっぱり端的でインパクトの強いシーンや文章が多いですよね。僕がよく思うのは文章が映像的だということです。映画のない時代ですが、モーパッサンの頭の中には映像が流れてそれをどんどん描写していってるようにも感じます。
あ、それから他殺か自殺か。僕は最初他殺だと思っていて、男に自分の存在を知らせようとしているように感じてました。でもこれもどっちでもありそうで……
柊圭介さん、こんにちは😊
まさかの結末にビックリです( ゚Д゚)
静まり返った真夜中の川でボートに乗っている様子がとてもリアルで、ボート経験者のモーパッサンならではの情景ですね。
小さな物音にもピクッとなってしまう不気味さが伝わってきます。
男の前に信じがたい妖精のような国の光景が見えたのは、川に沈められた老婆が「見つけてほしい」との魂の願いが込められていたのでは、なんて勝手に思っています。
>川は墓のない墓地。
川の静けさ、そのたたずまいにこそ本当の恐ろしさがある……。
あながち嘘ではなかったようですね。
作者からの返信
この美のこさん、こんにちは😊 コメントありがとうございます!
夜中の幻想的な恐ろしさから、朝になって現実の恐ろしさを見る、って感じがしますね。この作品はほとんどの部分がたったひとりの水の上の葛藤なので、そこをお伝えできていれば幸いです。
錨がたまたまそこに落ちたのか、それとも「呼ばれた」のか……日本的に言うと、成仏できずにそこに住んでいた霊なのでしょうか。
説明がない分、読者が自由に想像できますね。こうしてご感想をいただけると嬉しいです^^
「墓のない墓地」はちょっとした伏線でしたね。美しさと怖さ、色んな水の上を知っている人ならではの文章だなと思います。
夜の真っ暗な水面は怖いですよね。日常に潜む危険というか。男が泳いで脱出しようとしなくてよかった。
私、実話怪談が好きなんです。この短編は実話かフィクションかは明記されていないのでしょうが、色々もやもやして回収されない終わり方、いかにも実話っぽい雰囲気があって好きです。
>(←自分の小説の名前)
ここ微笑ましいですw
作者からの返信
橋本さん、コメントありがとうございます!
僕自身はこういう夜の水の上って経験がないんですが、昼と夜でまったく様相が変わりそうですね。月の光だけで手元も見えない霧とか、平常心を持って行かれそう。
また例によって散らかしたまま回収しない先生ですけど、この微妙な風味を気に入って頂けて嬉しいです。
べラミ号、お気に入りみたいです。たしかべラミ2号もあったような……笑
モーパッサンの川の描写が、本当に詩ですよね。お手本のようで、感服しました。
短編自体も、ほんとおもしろいです。一人じゃだめで、三人の手を使うというあたりに技を感じて、さすがという他ないですよね。
作者からの返信
雨さん、コメントありがとうございます!
川の描写はいかにも船を操る人の視点ですよね。愛情と畏敬の両方を感じます。
ストーリーもやはりじわじわくる心理が面白いですね。三人でやっと引き上げるというリアルさも。こういう細かいところに目が届く雨さんもさすがだと思います。
編集済
これは。なんとも魅惑的な作品ですね。僕はボート遊びをしたことがないので川のことは解らないのですが(公園の手漕ぎボートなら数回!)、山や森歩きは少しだけ経験があります。日の出前の暗闇。こつこつ、がさがさと響く音は自分の足音と知りながらも、背筋を冷やすような不安を掻き立てます。自然という圧倒的な存在。闇はそれを見せつけてくれるのでしょうか。沸き上がる畏怖の念がまた、大自然の魅力を再認識させてくれるようにも思うのです。
幻想的な風景。或いは川底に眠る老婆の夢を垣間見たのでしょうか。
このような作品、本当に大好きです。ありがとうございました!
作者からの返信
呪文堂さん、コメントありがとうございます!
そうですよね、川にかかわらず自然の中にぽつねんとひとりって状況は、否が応でも脅威を感じるものですね。そういえば僕も早朝にひとりで山中のけもの道を歩いて、だんだん怖くなってきて、ちょっとした物音にもビクついた覚えがあります(朝なのに)
>或いは川底に眠る老婆の夢を垣間見た
わあ、やられました。こういうこと書きたかった。
毎度至らない紹介ですがいつもよく読み込んで下さり、本当に感謝です。ありがとうございます!
底で何かが引っかかっている、というところですぐに死体かなあと思ってしまった……。その所為で最後にぎゃー! となれなくて残念です(^^; うーん、最近殺しすぎたからなあ……(コラコラ
妖精の国の景色はいったいなんだったんでしょうね。純粋に美しいのでも、怖ろしいのでもなくシュールなのが奇妙です。サイケデリックだなあ、やっぱりラム酒に変なキノコでも入ってたんじゃないでしょうか(笑)
作者からの返信
烏丸さん、コメントありがとうございます!
感づいてしまう人はきっとオチが見えてしまうかも知れませんね。自分がモーパッサンが好きなのは、オチが見えてもその過程がとても面白いというところですね。男にとって勝手知ったるはずの川が魔物になる心理がじわじわ書かれています。妙な情景も人間の心理が見せてしまうものなのでしょうね。この話では男が狂ってしまわないのが救いかな。他のは主人公がどこか行っちゃうので(笑)
編集済
うわあ、怖いエンディングですね~。((((oノ´3`)ノ
モーパッサンさんにもこういう作品があるんですね。
泳げない自分にとって川は近寄りがたい存在です。
散歩コースにふたつの一級河川があって、たいてい水はゆったり流れて日本海を目指していますが、ひとたび台風が来ると濁流が渦巻き、隠し持っていた牙を惜しげもなく剥いて暴れます。
そういうとき、いつも楽しそうに浮いている水鳥たちの影すら見えませんが、治まるとどこからともなく集まって来て、再びいつもの平和な光景が……。
でも、高山の源流から海に至る長い道程にはいろいろな秘話がひそんでいそうだなと、あらためて思いました。
作者からの返信
上月さん、コメントありがとうございます!
怪奇譚だとわりと不気味で残酷な描写が出てくるんですよね……。
この本文にもありますけど、流れるものへの畏敬が川には感じられますよね。ストーリー性があるというんでしょうか。仰るとおり、ゆったり流れているようで、上流から海へ流れ着くまでに色んなドラマが潜んでいそうです。
そんな川のひとつの顔を見た、という感じでしょうね。
編集済
それまで意識してなかったのに、何となく怖くなり始めると段々と怖くなって深みにハマっていく、そういう心理ってありますよね。
最後の老婆の死体は先生は何か意味を込めたのでしょうか?
詩人のような男、夜の川、老婆の死体、なんか解釈を求められているような気がしてしまいます。
作者からの返信
コメントいただいてふと思ったんですが、モーパッサンのホラーは派手に怖がらせる話ではなくて、じわじわと忍び寄る日本的な怖さに近いような。だから日本の方には先生の怪奇譚ってすんなり入りやすいかな、と思いました。
説明なしに読者に投げられると色々と解釈してしまいますね。そこもしっかり計算して狙っているのでしょう。あるいは新聞の三面記事を参考にしただけかも。でもやっぱり考えちゃいますね。