エピローグ

 あれから十年以上も経って、わたしは在宅での翻訳業をしている。

「おかあさん、おなかへった~」

心雪みゆき遥希はるき。父さんが作ってくれてるわよ?」

 娘の心雪と息子の遥希は四歳になる双子の兄妹。

 兄の遥希は黒髪に琥珀色の瞳で、わたしより夫に似ている。

 妹の心雪はブルーグレーの瞳をしていて、それを気にしてはいないみたい。

「おかあさん、ご飯できたって!」

 わたしは仕事の手を止めて、食べることにした。

「ひかり、食べなよ。ちょうど昼休みだし」

「ありがとう。零くん」

 零くんはテーブルに料理を置いていく。

「いただきます!」

 子どもたちはお昼ご飯をおいしそうに食べ始めた。

「わたしたちも食べよ」

「そうだな~」





 高校を卒業しても交際は続いて、二十九歳のときに結婚した。その一年後に心雪と遥希が生まれた。

 零くんは両親が経営している食堂を継いで、いまも商店街の人たちが通う人気の食堂を営んでいる。

「ひかり。つき合い始めたとき、そばにいてほしいって言ったじゃん?」

「うん」

「はいって、言ってくれて、とても嬉しかったよ」

「あのときのことをよく覚えてるよ、とてもびっくりしたよ」

 ほんとはとても嬉しかったし、少しくすぐったくなった。

「あれ、プロポーズのつもりだった」

「ほんとに!?」

「うん」

 これからの未来は何が起きるかがわからない。

 学生時代の一年間の行事が無くなって、目に見えない恐怖のなかにいた。

 わたしの隣には零くんがいた。

 そして、いまは子どもたちもいる。

 これからはみんなで未来を見ていきたいと思っている。

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Message 須川  庚 @akatuki12

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