第六十五回 僕の……最後のポエム。


 まだ少し動く手……


 パパが設定してくれた音声入力も、

 できたのだけど、……できるのだけどね、


 泣いちゃうから、……できないの。


 さっき……


 さっきね、千佳ちか先輩が送ってくれて、お家まで。


 泣いちゃったの。


 今日が、期間限定の美術部員の最終日で、

 絵が……『天使のうたたね』が完成した。


 するとね、

 また描きたくなったの。……でも、この先はね、


 難易度の高い手術。また入院なの。


 僕の病気はね、

 病気はね……まだ生きていたいの。


 とっても怖いの……怖いの。


 ……


 ……でもね、きっと、


 白い世界が広がって、

 その先にね、その先には、


 ちゃんと動く両脚。


 自由に、自由に体全部を使って……


 令子れいこ先生のように五感も使って……

 伸び伸びと描きたいの。……きっと、病気とはお別れだね。


 そして眠ったその先に、


 ……白い世界は広がっていった。



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