第六十六回 色のある世界。


 それまでは、モノトーン。


 黒の世界と、

 白い世界と、交差をする。



 ……時間の経過など無縁。


 まるで無重力のようなの。


 それは宇宙?

 それは……


 地球の故郷にも似た……

 そんなイメージだったの。


 そして、人類の故郷は海。

 海にも……ううん、


 これが三途の川のようだ。


 水平線ではなくて、

 向こう岸。そこに誰かがいるの。



 ――旧一もとかずおじさん。


 手を振っているの。そして何か言っている。


 ……ううん、叫んでいる?

 怒鳴っている。そうも思えるの。


 来るな! 帰れっ!


 お前は皆の所へ帰るんだ!


 ……あはっ、

 怒られちゃったみたい。……でね、


 気付いたら、もう色が存在していたの……



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