第五十八回 ランランラン!


 走る走る、ダッシュダッシュ……


 車椅子の、車輪を回す。



 凸凹の道、険しい道程だけれども、

 この後に、学園で……


 静かなる青色から緑色へと変化し、

 クリスタルな感覚。


 透明感があるとね、その様な表現。


 場所は、学園で芸術棟。


 明日まで待ちきれずに、

 この場に訪れた。……その名の通りに、


 僕は、葉月はづきの訪問者だ。



 名前も葉月。八月の妖精または天使だ。


 耳を澄ませて、

 耳を澄ませなくとも、聞こえる。


 令子れいこ先生の声。

 千佳ちか先輩の声。


 涙色に染まる、その声たち。


 この静寂を響く……そして見える。


 以前お会いした女性。

 そして見知らぬ男性と、小さな子供。


 ……男の子? 女の子? 見た目にはわからずで、


 二階へと向かう様子。……陰から見る。草木に隠れて。

 ダビデ像や大き目な観葉植物たちの、その陰から……。



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