第二十回 そして今日から。或いは今日もまた。


 ――八月六日。僕は再び訪れた。



 私立大和やまと中学・高等学園の正門を、車椅子で通過した。


 僕は、自らの手で後輪を回した。


 まだ走れる。まだ……

 腕力はまだ大丈夫……



 そして笑顔。令子れいこ先生に習って、スマイルスマイルだ。


 笑顔ならば、

 悲しいことにも負けない。


 僕は、

 僕は、ずっと笑いたいの。



 ――令子先生のように明るくなりたいから。



「あっ、来たね」


「さあ、ずずっと奥へ、若人よ」


 迎えてくれる千佳ちか先輩。今日も体操着なの。

 そして令子先生。もう取り掛かっているの。


 大きなキャンバス。

 百号のキャンバスと……そう教えてくれた。


 笑顔で、絵具まみれ……って、よく見ると、


 令子先生、あららら、はだかんぼだ。


 気にしないで――と言っていたけど、これで二日目、二日ともなの。

 確かに、この様に、絵具まみれになるからだろうけど……



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