第二十一回 絵具の肌触り、重なる色たち。


 ――レインボーは七色。



 僕は思うの。


 誰が決めたの? その色の数。


 色と色の間には、

 混ざり合う色があると思うの。


 そして色は、重なるの。



 藍よりも青く、それよりも、

 それよりも、もっと深い色。


 きっと、

 令子れいこ先生は知っているの。


 命の深さを。


 それを全身で表現している。


 絵具の肌触り、匂いも。

 語ることのない胸の傷。


 それは大きな手術の証。命を懸けた証。



 それはまだ僕も、

 知ることのないゾーン。


 なぜ、そんなことを思うの?


 それは今日が八月六日。

 広島原爆記念日だから、……そう、令子先生は言葉にした。


 僕は、そのことを記念日と呼ぶことが、間違いだと思うの。


 ……でも、戦争を知らない子が、忘れちゃいけない日なのだから。


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