第九回 あふれる想いと、あふれる涙。


 一回につき、ノート一ページ。


 その縛り、

 葉月のポエム……



 葉月がね、つまり僕が定めたルールなの。


 でも、

 綴りたいこと、いっぱいできちゃったの。


 見えたことしか書かないつもりだったの。

 それなのに、


 たくさんの、見えること以上の想い……



 そしてたくさんの、

 お家のようなバリアフリーとは、まったくかけ離れた凸凹道。


『私立大和やまと中学・高等学園』と表記されている正門を潜り……


 潜り抜けて敷地内。躓く……車輪を、前輪を取られる。激しく傾く車椅子。


 瞬く間、

 僕は転ぶ。体はもう……



 やっと、


 やっと手が届きそうなのに……地面を触る。


 窓から見てきた外の景色。その向こうへと、来たのに、

 たどり着いてこれからなのに、こんなところで転んじゃったの……


 車椅子が横転……僕は、車椅子を一人じゃ起こせない。


 あふれる涙で……泣いちゃって。


 ――君、大丈夫? と、声が聞こえた。聞き覚えのある女の子の声だった。



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