第六回 星野……というの。僕の名字。


 ――それはパパの姓。

 もう生まれた時から。



 ママの姓……旧姓は、

 また機会があったら、お伝えするね。


 だって、葉月はまだ始まったばかり。



 葉月には、二つの意味があるの。


 一つはこの月、八月という意味。

 二つ目はね……そう。僕の名前。



 だから僕は、走る。


 車椅子を走らせる。


 そして……そして、そして、目の当たりにする。



 ――『私立大和やまと中学・高等学園』の学校の名前。


 そして着いたのだ。この学校の正門の真ん前に。

 ……徒歩にしたら、何分の道程?


 わからない。わからないけど、僕は二十分ほど。


 喉の渇きを覚える。

 少し……少しだけど、寒気を感じるの。


 感動するほどの暑さなのに?

 一般では炎天下なのだけど?


 喉を通す水分! 躊躇ってはいけないと思うの。


 ポカリスエットという名の水分補給を。――冒険は、まだ始まったばかりだから。



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